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「おかえり、パパ」  クタクタになって帰宅したパパを、僕は珍しく出むかえた。背広とカバンを預かりながら、にっこりと笑う。  そんな僕の魂胆は、パパにはお見通しだ。いや、パパじゃなくてもわかると思うけど。 「なにが欲しいんだい?」  悪だくみを考える子供みたいな笑みを浮かべ、パパはささやく。 「あのね、夏休みの日記のネタ探しをするために、どっかに連れていって欲しいんだ」  僕は自分でも気持ち悪いぐらい甘い声をだして懇願した。  その夜、夕飯を三人で囲んでいる最中、パパが突然言い放った。 「明日からみんなで旅行に行こう」 「いやああああああ!」  案の定、ママが発狂した。テーブルを叩き、食器をガシャンガシャンと鳴らす。 「嫌よ! 嫌よ。なにしに行くのよ。私はゆっくりしたいのよ」  おかずをぶちまけそうな勢いで、ママがかぶりを振る。  そんなママに対し、パパは態度を変えやしない。いつものことだと言わんばかりに。 「実は、会社から出張命令が出たんだよ。惑星一つを侵略してこなくちゃいけなくなった」
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