居場所

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居場所

 たとえば私が消えたら、誰か悲しんでくれる人はいるのだろうか。 「人は必要とされているから、この世に存在している。この世に存在しているということは、誰かがあなたのことを必要としてくれているからです。  あなたは誰かに生かされているのです」  そんなきれい事を言った人が、いつかいたように思う。だけどそんなことはない。私は居場所がない。だからいつも、やみくもに歩き回る。学校も行きたくない。家にも帰りたくない。だから私はやみくもに歩き回る。  だけどいつも心のどこかで求めている。誰かが、声をかけてくれることを。  たとえばやさしそうなおばさんが、 「ちょっとあんた、顔色悪いよ、大丈夫?ちょっとうちに寄って行ったらどうだい?」  なんて話しかけてくれて、家に招待してくれて。  そこで私は抱えている悩みを相談して、おばさんは、 「それならあんた、家に住めばいいよ。女の子一人ぐらい、いつでも面倒見られるさぁ」  なんて言ってくれて。  私はその優しいおばさんの家で生活して、学校にも行かないで、のんびりほのぼのと暮らすことができて。  ......そんな、ありもしない妄想をしながら、私は今日も歩き回る。ただ、やみくもに。
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