8−2 遭逢

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 あの日、わたしはてっきり如月がわたしを裏切って、他の女と遊んでいると思った。そりゃ、あんなに楽しそうに話している姿を見たら、誰でもそう思うよ。おまけに電話にも出ないし、LIMEにきたメッセージはGoodnightなんてもう決定的だと思ったよ。その不信感を抱いたまま、ラロお祖父ちゃんに呪いの反動を解いてもらえるように話をしたんだ。ラロお祖父ちゃんはその日の夜に、身近な人、そう、わたしの両親を呪ったの。私の呪いの反動を解放するために。  でも実は、そんな事してもらう必要はなかったんだ。  昨夜、ラロお祖父ちゃんと話をした後に、わたしは不覚にも寝てしまったんだ。それなのに、呪いの反動は来なかった。なぜか?、考えるまでもなかった。わたしは、すぐにLIMEを送った。そして返ってきたメッセージは、Good Morning。そのメッセージを見て、すぐに電話を掛けてわたしの知らないところで行われていたことを教えてもらった。  悪魔と話をして、契約は完了できず、佳苗を呪った反動がわたしに来るって知った如月は、その日のうちに一人呪ったらしい。適当に軽そうな女性をナンパして、わたしと同じようにとしてその女にやらせたらしい。ホテルで一晩呪いをやって、あのカフェでモーニングを食べながら、呪いの告知を行っていたとのことだ。その告知もわたしが使った、私たちは運命の呪いに掛かった、みたいな今思えばすごくチープなセリフを使って。その女が見ていない隙に、紙に交通事故と小さな文字で死因まで書いていただんだって。確かに、そうすれば自分が疑われることもないもんね、さすが如月。
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