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「真っ暗で何も見えないね」
如月の方を見ると、同じように残念そうな表情をしている。
「本当だね。でも、微かに音だけは聞こえたね」
「うん。蠱毒って言ってたのはわかった」
「蠱毒か。真呪教の教祖を贄にして作り出す呪いなんて、恐ろしいほどの力を秘めそうだよね」
「確かに。ラロお祖父ちゃんの怨念も入ってそうだもんね」
そう言って、目の前に置いたカップに入れられたカフェラテを口に含んだ。
「そういえば、昨日の喫茶店に買ったばかりのコーヒー置いてきちゃったの思い出した。もう、如月のせいだからね」
「ごめん、ごめん。まさか、あの場面をクラウさんに見られてたなんて」
「本当だよ。わたし、裏切られたって思ったんだから」
如月は両手を顔の前で合わせて、本当にごめん、って謝っている。
「もういいよ」
あ〜あ、素直じゃないな、わたし。本当に伝えたいのはありがとうなのに。
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