8−2 遭逢

16/19
305人が本棚に入れています
本棚に追加
/333ページ
「ああ、失敗した時の話か。複数人呪って、その中のひとり位失敗したって構わねぇよ。呪いをやって、一人分の魂も献上できなかったら、さすがに温厚な俺も怒るがよ。なにせ、呪いが始まって最大でニ十四時間も待つんだからよ。そんな時は、こっちの世界に連れ込んでそいつでじっくりと楽しませてもらうぜ」  やっぱり、呪いの失敗にもペナルティが課せられるのか。そして、悪魔は言っていた。最大でニ十四時間待つと。それは、呪いをした日のうちに告知をしないといけない事を意味している。僕の推測も強ち間違ってはいなかったみたいだ。契約を失敗した時の罰の部屋と呪いを失敗した時の部屋が一緒なのかどうかは、今は別にいいか。さあ、次が今日のメインイベントだ、うまく乗ってきてくれるといいんだけれど。 「もういいか」 「ああ、すいません。もう十分です。ありがとうございました。ところで、あなたは賭けは好きですか」 「賭けだと」 「ええ、僕と賭けをしませんか?」 「兄ちゃんと賭けをするのか。何を賭けるっていうんだよ」 「です」 「ラロだと。ほう、聞かせてもらおうじゃないか」  乗ってきた。 「はい、真呪教教祖の結城ラロさんです。あなたと契約を完了している彼をあなたに献上できたら、僕と契約を完了したことにしてもらえませんか」 「つまり、俺との契約の条件にラロの魂を俺に献上するってことか」 「いえ、僕がアナタにお渡しするのはラロさんの魂ではありません」
/333ページ

最初のコメントを投稿しよう!