8−2 遭逢

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 悪魔が訝しげに僕を見る。僕が悪魔に渡すはラロの魂じゃない。そんなもんじゃ、つまらないし、悪魔も納得しないだろう。 「をそっちの世界、鏡の中の世界に献上しますよ」 「それには、ラロが契約か呪いを失敗しないといけないんだが、…………なるほど、だからあの質問をしたのか。兄ちゃん、お前やっぱりおもしれぇな」 「ラロさんはメキシコ系だと聞いています。だとするとミドルネームが僕には分からないので、呪うことは難しいんですよ。だから失敗させます。それで、どうしますか」 「もし、兄ちゃんが失敗したら」 「僕を無条件でそちらの世界に連れて行って、好きなようにしていいですよ」  悪魔は下卑た笑顔を俺に向けてきた。よし、完全に釣れた。 「いつ実行するんだ」 「ラロさんが僕に掛けた呪いを告知する日ですね」 「ラロがお前を呪う必要がなければ、ありえない話じゃねぇか」 「ああ、それは問題ないです。すでに布石は打ってありますので、ここ数日には必ず僕のことを呪いますよ」 「用意周到かよ。まあ、面白いからのせられてやるよ」 「ありがとうございます。ラロさんへの罰は僕にも見せてくださいね」  これで準備は全て整った。さあ、真呪教を貰い受けにいこうか。
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