8−2 遭逢

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「うん、メキシコ系だからね。必ずといっていいほど、みんなミドルネーム持ってるよ。パパもリカルドってミドルネームがあったんだよ」 「ご両親は残念だったね」 「そうだね、少しは寂しいかな。でも、真呪教は如月と二人でやるって決めていたし、もういなくても良かったかな」  参ったね、自分の両親ですら必要ないって。やっぱりスゴいな、クラウさん。  スゴいと言えば、ラロさんとはあの時が最初で最後の遭逢(そうほう)だったけれど、やっぱり格が違ったな。この呪いを始めた人だものな、憧れの人に出会ったような気になって思わず吃音(きつおん)が出ちゃったよ。まあ、もう過去の人だけれどね。  さて、本名も分かったし、今夜にでも呪いをしようかな。  ラロさんを悪魔に引き渡すのに十分役に立ってくれたし、感謝はしているけれどもう必要はない。  何より、この呪いを知っているのはこの世界中に僕一人で十分。  呪いが完了したら、真呪教を使って何からしようかな。日本、世界、鏡の中の悪魔の世界、どこを支配することも可能だし、考えただけでも楽しそうだ。  なにせ、僕は無敵だからね。  世界中の人間に伝えることだってできるだろうな。  皆さんは呪われました、ってね。
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