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無音という音に支配された空間
深淵の闇を思わせるような黒に染められた空間
フーっ
呼吸の方法を思い出したかのように大きく息を吐く
もう、いいだろうか
自らの手を握り開きしてみる
もう、十分ではないだろうか
頭を上げて光の差す方向を見上げる
そろそろ、試してみてもいいのではないだろうか
周囲を囲んでいた壁にビシッと一筋の亀裂が入った。亀裂はその後も増えていき、やがて大きな音とともに周囲の壁は全て崩れ落ちた。
久しく差し込んでくる数多の光
そこには一人の男が立っていた
男は全裸であり、その足元には数え切れない程の蟲や動物の骸と体液と思わしき液体が散乱している
「ふむ、こんなものか」
何百回、何千回、何万回かわからない蠱毒を生き抜いてきた私は、今や最高の呪いになった。如月に感謝せねばなるまい。そして、いつかお礼にいかないとな。
まずは、この鏡の中の世界で悪魔相手に真呪教でも布教してみるか。そして、悪魔達に告げてやろう。
皆さんは呪われました、とな。
なにせ、今は私自身が最強の呪いなのだから。
『皆さんは呪われました』
了
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