1-2 願ってもない情報

2/3
前へ
/333ページ
次へ
 今日もいわれのない文句、誹謗、中傷、暴力。フルコースだったな。  でも、そんな僕にも唯一趣味がある。家に帰り、自分の部屋に飛び込み、スリープ状態にしておいたノートパソコンを開ける。  ネットでの人との交流。  これが僕の唯一の趣味。というか、人と繋がれる唯一の手段。  今日もたわいのない会話を続けていると、最近仲良くなった"カスさん"の書き込みに、僕の視線は釘付けになった。いつも寝不足だ、眠いとかしか書いていなかったのに。 "イサカ氏、死んで欲しいと思う相手はいる?"  イサカは僕のハンドルネーム。まあ、坂井をひっくり返しただけなんだけれど。 "死んで欲しい? どういうことですか?"  そこまで興味がないようなレスを打つ。しかし、僕の心臓は破裂しそうなくらいバクバク鳴っている。そう、僕はクラスメート全員に死んで欲しい。 "別のサイトで簡単でおもしろい呪いを見つけたんだよ"  胡散臭さ満点だけれど、僕の興奮は止まらない。 "どんなのですか?"  文章だけは冷静に冷静に。落ち着け、僕。 "じゃあ、やり方をコピペするからしばし待たれよ" "了解です"  どんな呪いだろう。本当に簡単ならやってみようかな。あわよくば、一人くらいケガでもするかもしれないし。  しかし、まだかな。  早く見たいな、呪いの方法。  あー、待ちきれないな。  画面に文字が浮かんできた。  来た、呪いの中身だ。
/333ページ

最初のコメントを投稿しよう!

310人が本棚に入れています
本棚に追加