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 ということで、ギターを持ってオレんちに。 「ただいま。Mくんも一緒だよ」 「お邪魔します」 「おかえり〜あ〜ら〜Mくんもいらっしゃるの〜ちょ〜っとお待ちになって〜」  かなり遠くからオフクロの声が聞こえる。無謀にも上品な奥さまキャラを演じているつもりなのだろう、間延びした明らかに不自然な喋り方になってしまっている。ちなみに、Mはという異名を持ち、同級生の母親たちにも絶大な人気を有す。  オレらは構わずリビングに上がり、エアコンを強にする。 「涼しい〜!」と、オレ。 「E〜!」と、M。 「は?」と、オレ。  Mはギターを構える。 「そゆこと」と、オレ。  リビングのピアノの蓋を開けて「ミ」、つまり「E」の音を鳴らす。Mは慣れた手つきでハーモニクスを響かせチューニングをすると、コードをいくつか弾く。  そして母登場、アイスティーをトレイに載せて持ってきてくれた。Mにはスッピンを見せるわけにはいかないらしい、しっかり眉毛を描いてきている。でっかいマスクをしているから、多分メイクは眉毛だけなんだろうけど。  オレはアイスティーをガブガブ一気飲み、Mはきちんと、いただきます、と言ってちょっと一口だけ。おやおや、オフクロの目がハートになっているじゃないか。 「ギター持っていらしたの?じゃあ、ごゆっくり〜」と、母退場。
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