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 Mはコードをいくつか鳴らすと、定番のアコースティックバラードを何曲か弾いた。うっとり・・・女子なら惚れるだろうな。おっと、これからBLに発展することはないからな。  しばらくすると、ハミングで知らない曲を歌いはじめた。 「それ、誰の曲?」  Mは弾くの止めて答える。 「いや、アドリブ」 「いいじゃん、続けて!」  オレはピアノの上から五線紙と鉛筆を持ってきた。  Mが弾き終わったので、聞いてみる。 「おまえって作曲もできるの?」  Mは、はにかみながら答える。 「全然。このギターいじってたら思いついた」 「あのジジイ、魔法のギターって言ってたぜ」 「そうかもね。でも、もう忘れちゃった」 「ほれ!」  オレは五線紙をMに見せた。 「すごいな。聞いただけで書けるんだ」 「まあな」  オレは小さい頃からピアノ習ってたから、これくらいできる。オレにだって取り柄はあるし。  Mの鼻歌に、オレはなんとなく浮かんだ英語のフレーズで合わせてみた。 「え?今、作詞した?」と、M。 「なんとなく浮かんだ」と、オレ。  調子に乗って、五線紙に単語を書いて、それから2人で少しずつ歌詞を作っていった。いつの間にか1時間くらいたって、だいたいの歌詞が出来上がった。インスタント"レノン・マッカートニー"だな。
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