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「でも、この英語で正しいのかなあ」と、M。  たしかに、オレらは英語の成績はいいし、洋楽もよく聞くが、文法やスペルが正しいとしても、書いたものが不自然でないかはわからない。 「オフクロよんでくる」 「お母さん?」 「そ、オフクロは帰国子女だったし、大学卒業してしばらくアメリカに留学してた。確か、ボストン」  呼びに行くこともなく、母登場。絶対隣の部屋で聞き耳立ててたんだろう。しかも、マスク外して完璧なメイク・・・。おいおい、勘弁してくれ!さっきまではマスカラなんてなかったよね? 「いい曲ね、メタリカ?」と、母。  んなわけねえだろ!  気を取り直して、オレは歌詞を見せ、おかしいところをチェックしてもらう。 「あら、ラブソングじゃないの。思い出すわあ、ボストンでの日々・・・ふふふ、ロニーはどうしてるかしら・・・」  誰だよ、ロニーって! 「このwe didn’t know a kissってところ、これだとキスというものが何なのかを知らなかった、ってなっちゃう。歌詞の意味は、キスしたことがないってことでしょ?ふたりがキスしたことがないならwe’ ve never kissedとか。でもウブなふたりが誰ともキスした経験がないのなら、キスの仕方も知らなかった、って意味でnever known how to kissかなあ・・・若いっていいなあ・・・Mくんはもう誰かとキスした?」 「し・・・しませんよ!」  突然のフリに、ウブなMはしどろもどろ。 「あ〜ら、教えてあげようか?」 「かあさん!」 「じゃあ、ごゆっくり〜」と、母退場。  ったくもう、信じられん。ふと見るとMの顔が真っ赤になってる。 「ごめんな・・・」 「いや・・・おまえのお母さんに惚れた・・・」  マジか、こいつら!
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