4/4
前へ
/4ページ
次へ
 翌朝、休日なのにいつも通りの6時に目が覚める。  もう、体が覚えてしまっているのだろう。  そのおかげで、職場に遅刻するようなことはないから、これはこれで良い習慣かもしれない。  横を見ると、妻が微かな寝息を立てて眠っている。  妻のほうは仕事だから、かわいそうだけど起こさなくては。 「かなー、起きてー」  カーテンを開け、爽やかな朝の光がベッドに届く。  その夏の光は、教えてくれる。  気持ち良さそうに、手を伸ばして眠っている妻のことを。  左手薬指の爪には、僕よりも多い3本の黒い線がくっきりと伸びていた。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加