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1,終わりと始まり
風鈴が生暖かい風に揺られるのを、まじまじと見ながらペン回しをする佐山風夏(さやまふうか)24歳は、今日も家に引きこもって執筆をしていた。
ネタが思いつけば手は止まることなく書き続け、思いつかなければ手は止まり書斎へ駆け込むの繰り返しだった。
周りから、今時手書きだなんて珍しいとよく言われるが、逆に言えば、何故パソコンで打たなければいけないのかと私は疑問に思った。確かに、パソコンの方が早いが、慣れてない人にとっては遅く、上手く打てないと無性に腹が立つ現象が起きる。
いかにも、それが私なので、だから手書きで書き続けている。
小説を書いてる時が、一番集中し、何よりもう1人の私になりきったかのように書けて、楽しかった。
だが、そんな自由気ままに見える私に見えるが、幼少期の頃、暗くて、苦しい事を沢山経験してきた。
まず初めに、私は小学4年生の頃にいじめにあった。いじめグループのリーダーに標的されていた女の子を助けた私が、次のいじめのターゲットになった。陰口を言われ、机には毎日辛い言葉を投げかけるような落書きなども書かれていた。
でも、それならまだ耐えられたけど、その数週間後、私が助けた女の子がいじめグループの輪に入って、一緒になって私をいじめ出してきた。
どうやら、私をはぶいたら、グループに入れて、いじめから解放してあげると言われたらしい。
私は、その瞬間何かが切れる音がした。
それは、怒りでも悲しみでもなく、親友という人間に裏振られた、信頼関係の糸が切れた音だった。
私は、その日から人間不振になり、しばらく学校に登校できなかった。部屋に引きこもり続け、泣いて落ち着いたと思ったら、また泣いて繰り返しで、そんな自分が段々と嫌いになっていって、しまいには家の二階から飛び降りて死のうとしていた勢いだ。だが、その時は、親に止められてしまったけど…。
でもそれくらい、精神的に追い詰められていた私に、親はある病院で私のことについて相談を受けていた。
そして、残りの小学校生活は、不登校生活が続いて終わってしまったが、無事中学校には行けた。小学校から少し離れた中学校を選び、少し期待膨らませていた私だったが、入学早々、そこでも悲劇が起きた。
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