2,もう一つの生活

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2,もう一つの生活

入院当日になったその日は、晴天だった。 風も吹いていて、まるで私の背中を押してくれるような感じがし、私は緊張して足と手の動きが一緒になっていた。 入院期間は丁度1年だった。自分がどこれから変わっていけるかは、全て自分次第だが、変われる機会を与えてくれたのだから精一杯頑張ろうと自分に問いかけていた。 病院に着くと、まずは入院手続きから始まった。受付で名前を伝え、少し待合室で座っていると遠くの方から先生がやってきた。 「今日からよろしくお願いいたします。」 私は、深々とお辞儀をすると、先生は笑顔で、 「そんなかしこまらなくても、気楽にやって行きましょう。」 そう言い、私の背中を優しく叩いた。 ここからは、お母さんとお父さんとは当分会えなくなると少し寂しい気持ちが芽生えてきたが、今の自分の為に、未来の為に、今が辛くても頑張ろうと勇気を鼓舞し、私は最後にお母さんたちにこう伝えた。 「少しの間だけだけど、私頑張るから、帰ってくるその時まで待っててね。」 笑顔でお母さんたちの手を握りしめた。 そして、私は背を向けて、振り返る度に何度も手を振り返した。お母さんは、瞳に涙を浮かべていたが、頑張ってねと声をかけてくれた事に、ここからは本当に1人何だと改めて実感させられた。
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