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――ここの娘さんか。大学生くらいかな。
こんな年頃の娘がいるなんて、聞いてなかったぞ。
もっとも、店主とは「ブレンド。いつものやつで」「はい、ブレンドですね」くらいの会話しかしたことはなかったから、娘がいること、そしてそれを知らなかったことがそんなに特筆すべきことでもないということを男は思い直した。
ふ、とテーブルの端に目をやると、いつも紙ナプキンが差し込まれている入れ物が二つあり、片方は用途通りに紙ナプキンが入っていたが、もう一つには、葉書大ほどの紙が何枚か入っていた。
一枚手に取ってみると、こう書いてあった。
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アンケートにご協力ください。
★当店にまた来たいと思いますか?
はい・いいえ
★それぞれ、その理由を教えてください
★当店のメニューで好きな物があれば、ご記入ください。
★当店に関するご意見、ご感想などご自由にご記入ください。
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こんなもの、前からあったかな?と男は首をかしげた。
チェーンのファミレスではたまに見かける代物だが、この昭和から取り残されたような喫茶店では、なんとなく違和感があった。
「ブレンド、お待たせしました」
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