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中から抜かれる時にさえ快楽を拾い思わず短い声が漏れる。しかし、もう男はスッキリしてしまったのか反応を示さなかった。
恍惚な気持ちに酔いしれながらもうっすらと瞳を開くと、男がゆったりとその隣に座った。汗ばんだ髪をかき上げる姿が見える。
「・・・・・・あんたが、ルカ様?」
思わずそう声をかけると、その視線がちらりとこちらに向けられた。ブ男でもチビでも禿げでも、じいさんでもなかった。
艶のいい黒髪で、キリッとした凛々しい顔つきの所謂イケメンで、体躯もすらりと縦に長そうな男だった。
「だったらなんだ」
「別に。初対面の男を寝込みを襲うなんて悪趣味だと思っただけ」
「お前は」
「律。俺の名前、律だから」
「・・・・・・お前は、女みたいな顔しながら、口を開くと台無しだな」
名前を伝えたのにあえて“お前”という性格の悪さ。自分の虜にでもしてやろうという魂胆はすっかり消え去り、しっかり言い返してしまうあたり、やはり俺には潮らしくも誰かに従うなんて出来た事も無理なのだと悟った。それで捨ててくれるなら大歓迎だ。・・・・・・殺されるのは困るが、そうなったらさっさと逃げてやる。
「お前と喋っている時間はない」
「ヤルだけヤッたら帰るのかよ」
「お前の存在意義はそれだけだろう」
「ムカつくやつ」
思ったままを突きつけると、その男、ルカの視線がじとりとこちらを向いた。
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