episode 11

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 次の日から、またルカの部屋に戻された俺は、その部屋の中の書斎の一部屋を好きに使ったらいいと与えられた。あまりにもな待遇に最初は断ったけれど、やることもない俺にとってその書斎にある本は宝の山だ。それに、暇を持て余すくらいならこの本で勉強して少しでもルカの役に立てる仕事が何かあるかもしれないしと前向きに考えることにした。  ルカと相思相愛になって、身体を重ねた夜は、この世で一番幸せな夜だった。これまでの、気持ちがよく孤独を感じなくても済むだけだったセックスとは違って、お互いの愛を確かめるセックスっていうのはこんなにも満たされ、幸せで、多幸感に溢れるものだとは思ってもみなかった。気持ちがいいだけではない、幸福感。これまで感じた事のない感覚だった。 「あーやばい。にやける」  ふと気が緩むと思い出して頬が緩むのを止められない。一人きりでよかったと今だけは思う。  ルカは忙しい。相変わらず部屋に戻ってくるのは夜遅くだ。時々昼食を一緒に取ろうと戻ってきてくれることもあるが、それすらないこともある。  思いが通じ合ったからと言って、俺とルカの関係はいったいどうなったのか。ルカは王子で俺は、奴隷・・・・・・いや、元奴隷? 跡継ぎも残せない男の俺が本気でルカの相手になれるとは思っていない。だから、きっと期間限定の恋人同士みたいなものだろうか。そう考えるともらった幸せがあまりに大きくて失うことが怖くなりそうだ。でも、覚悟を決めておかないといけないんだろうな。
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