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俺の元いた世界だって、あまり今は多くはないのかもしれないが、政略結婚とか親が決めた結婚相手とか聞く話だし、それなりの地位にいる人なら尚更いまだにそう言う事もあるのかもしれない。元の世界の話ですら、俺にとっては遠い世界の話だが。
ルカだって、いつまでも俺を側に置けるわけないって一番よくわかってるはずだ。俺はその時に、足かせにだけはならないようにちゃんと覚悟だけはしとかないとな。
その時になって、俺が元の世界に戻れたりなんかしたら、丁度いいのかもしれないな。他の誰かの隣にいるルカを、見たくはないから。
時間を持て余している俺は、そのもらった書斎に入り目に入った本を手に取る。あの離れで最初にルカに借りたあの本は、俺の血で汚れてしまったらしく、ルカが新しく用意してくれ昨日読み終えたのだ。
やることが本を読むことくらいしかない。そう思い天井までずらっと並んだ本棚の本を見る。多すぎてなにがなんだかわかんないな。
ふと目についた本がある。それは、史実のようでこの世界の成り立ちがわかるかもしれないと手に取った。ソファに座りゆっくりとその本を開く。読み始めると興味深くすっかりと読み入ってしまった。
パタン、と本を閉じる。読み終えてしまった。
俺にとってはファンタジーみたいな物語だけど、この世界の人間からすればこれが現実で、過去なのだ。
ルカがいるこのリリアス国の成り立ち。かつてはそれぞれがバラバラに生きていたのが、村になり、町になりそして国になり、栄えていく。リリアス国という国が確立されるまでには幾度も戦があり、たくさんの命が散っていったという。そうして現在の国々が出来上がっていった。でもそれは、元の世界でもかつてはあった事なのかもしれない。
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