episode 2

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episode 2

 暇だ。  とにかく、暇だった。  なにもない部屋に一人。定時に運ばれてくる食事の時にしか人の出入りもなく、運んでくるメイドのような女性も言葉もなくテーブルに並べるだけで、声をかけても一切無視だ。  ここに連れてきたあの男もあれっきり訪ねては来ないし、ルカも初日に一度寝込みを襲ってきた以来ここ三日来ていない。俺としてはそのことについてはどうでもいい。まぁ、自分の身体のためにも、準備は毎日欠かさずやってるという律儀な行動もとりながらも、来なければ来ないで清々するのだ。  セックス自体は好きだが、相手に好き勝手され主導権を握られるのは嫌いだ。だから、あの男とのセックスは、嫌なのだ。無駄にうまいせいで振り回された感が気に入らない。  かといってこうも毎日なにもなく過ぎていくと暇で暇で仕方がない。時間がこんなにも遅く感じるのは生まれて初めてくらいに暇なのだ。  そう思って運動でもしようと歩いてみるが首に繋がれた鎖がジャラジャラと煩く、首も引っ張られるのがうっとおしくてやめた。身体も疲れないからか夜もなかなか寝付けず、ゴロゴロうだうだする時間ばかりが過ぎていく。  元の世界に戻れるような気配も一向になく、絶望の二文字がいつも目の前にぶら下がっているみたいだった。
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