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「おい! なんなんだよ! こっから出せ! 俺がなにしたって言うんだよ!」
綺麗だと持て囃されはするが、実は俺は口が悪い。猫を被るのは得意だが、こんな所で猫を被ったところで意味はない。
「無意味だよ。叫んだところで出してもらえない。せめて、いい人間に買われることを祈るしかないよ」
「はあ? 買われるって。意味わかんねぇんだけど」
その牢の中に入れられているのは、俺一人ではなく、五人ほど入れられている。向かいにも同じような牢があり、そこにも数人の男が入れられていた。男ばかり。比較的俺と同じくらいの年ごろの男が多く、やせ細ってはいるが、綺麗な顔つきをした男ばかりだった。
「僕たちは、奴隷商人に売られるんだ。買う理由はそれぞれだけど、愛玩具にされたり、奴隷にされたり・・・・・・」
「はあ? なんだよそれ。人間を売り買いするってのか。そんなの許されるのかよ」
「仕方ない。そうしないと僕たちは生きていけないんだから」
隣に座るその男は、なにもかも諦めたような顔をしている。冗談じゃない。こんな訳の分からない所に来て、売り飛ばされるなんて、ふざけんな。なんで俺がこんな目に遭わないといけないんだ。
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