1589人が本棚に入れています
本棚に追加
「リアは、奴隷ってわけじゃないんだよな?」
「ち、違います。奴隷というのは、身寄りがなく、身分がない者が生きていくために自分をお金に換えて生き長らえるためのもので・・・・・・、あ、あなたもそうなんではないんですか」
「んー、そうなんのかな。身寄りがないってのは、まぁ、確かに間違っちゃいないし」
「でも、私も、そうなってもおかしくはありませんでしたから。ここでの仕事を得ることができていなければ、家族のために奴隷として身を売ることも考えないといけない所でした」
こんなまだ未成年の子どもの頃からそんな風に生きるのはどれ程過酷で辛いものなのか。俺は、随分と平々凡々な世界で生きてきたのだろうか。俺もそれなりに悩んだり苦しんだり葛藤しながら生きてきたはずが、この世界ではかすんでしまいそうだ。
「家族、仲いいの?」
「仲は、・・・・・・いいです。兄弟が多くて、下に四人いるんです」
「マジ? 七人家族ってこと?」
「はい・・・・・・、正確には父は四年前に亡くなったので六人で暮らしてますけど。父は、薬師だったんですが、薬草を取りに行ったまま・・・・・・」
「そっか。だから、リアが頑張って働いて稼いでるのか。やっぱ、偉いよ」
そう言うと、リアは目を丸くさせ俺を見る。なにか変な事を言っただろうか。
「貴方は、どうしてご自分が大変な状況で、他人をそうやって褒めることができるのですか?」
「大変な・・・・・・、あぁ、奴隷なのに上からモノ言うなって?」
「そうじゃありません。私は、自分よりは恵まれているだろう他人に向かって、そんな風に偉いねって思えないから。・・・・・・、あ、すみません。それこそ貴方の事を下に見ている証拠ですよね」
最初のコメントを投稿しよう!