干天の慈雨

episode ２

　仕事があるからと出て行ったリアを見送ると、また暇になってしまった。やっぱり、話し相手がいると気分が紛れていいもんだな。いろんなことがわかったし。
　まさか、ルカが王子さまだなんて思わなかったけど。王子さまなんて、全く身近でないから、そんな立場の人間がいるなんて思ってもいなかった。
　でも、そんなお偉い人が奴隷に性欲処理をさせているなんて。女遊びが激しいと言っていた。でも、そんなチャラそうな感じは受けなかったし、リアに言わせれば、厳しく怖い人だし。そうする理由がなにかあんだろうか。

　それに、リリアス王国。やっぱ聞き覚えなんてない国名だ。そもそも日本語が通じている時点で外国というのはありえないんだから、やっぱり異世界というのでファイナルアンサーなんだろう。どうしてこんなことになったのか。

　食って寝てヤッて、の生活は確かに気楽ではあるけれど、なんとも味気ない日々だ。人間としての尊厳を、失っていく気がする。

　その日から、仕事のために部屋にやってくるリアと一言二言言葉を交わすようになった。時間がある時には落ち着いて話すこともある。リアからはこの国の事を少しずつ教えてもらった。名産品が金の加工品であること、季節はあり、今が秋だという事。冬になると雪が降り、とても寒くなるという事。
　元の世界に似通ったところ、全く違うところ、知っていくうちに興味深くなっていく。
　一度でいいから城下に出てみたいとも思うようになった。