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「あんた、王子さまなんだってな」
夜になって訪ねてきたルカに問いかけると、怪訝な瞳が俺を射抜く。
「誰に聞いた」
「誰でもいいじゃん」
リアを責められては可哀想だと誤魔化す。
「なんで言わなかったんだよ」
「俺は王子だと言うのか」
「なんだよ。俺様だとか言ってたじゃん」
「お前は、俺が王子だと気付いたくせに態度を改める気はないのか」
「え、今更じゃん」
まぁ、怒らせて殺されるのはごめんだから、改めないなら殺すと言われるなら改めないでもないけど、見てたらそこまででもないみたいだし。
「お前は、本当に変な奴だな」
「はぁ? 聞き捨てならねぇな。どこが変なんだよ。俺くらい真っ当な人間はいないよ」
「俺が、怖くないのか」
そう問われ、俺はルカの顔を見る。なにを考えているのか、相変わらず分かりづらい。
「怖がられてるらしいな。それと、最初俺を連れてきた男も、嘆いてたぞ。女遊びが激しくて、困ってるって」
「・・・・・・ハンスか」
「ハンスっていうの?」
「俺の側近だ」
今更ながら名前を知る。最初のあの日以来ここを訪ねてくることはないし、会う事もなかったけれど。俺を軽蔑した目で見ていたいけ好かない奴。
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