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「てか、王子ってことはもしかしたら王様になるかもしれないのか?」
「生きていればの話だ」
「生きてって。王さまそんな長生きすんのかよ」
「俺を王座につかせたくない人間もいるのだ」
吐き捨てるような言葉に、なにも言えなくなる。それは、命を狙われているってことか。王位継承権を巡った派閥争いみたいな?
命を狙われている――それは、誰かに死んでほしいと願われてるってことだ。そう考えるとゾッとする。
「殺されるくらいなら、さっさと王座なんて放棄しちゃえば?」
「簡単に言ってくれるな。俺を支えてくれている者もいるのだから、そう簡単にできるわけがないだろう」
「面倒な世界なんだな」
支えてくれる者がいたって、殺されたら元も子もないわけで。自分の命の方が大事だと俺は思うけれど、そういう立場の人間の考えることは違うのだろう。
ルカは膝を立て、そこに腕をかけ気だるげに座っている。どことなく見える疲労に、気苦労を感じ取る。命を狙われていれば、ギスギスもするだろうし、人に優しくなんてできるわけがない。リアが厳しく怖い人だと形容するのも仕方がない気もしてくる。
周りが皆敵に見えてしまうのではないか。
「そういうストレスを、女で発散してたってことか?」
「手っ取り早く発散できるのがそれくらいだっただけだ」
「で、今日はスッキリしなくていいのか?」
「・・・・・・気が削がれた。今日はいい。寝る」
「寝るって、ここで?」
ルカはそう言って、ベッドに入っていく。ちょっと待て。俺のベッドだっつの。
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