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「王子さまって、普段どんなことしてんの」
「そんなことを聞いてどうするんだ」
「いいじゃん。気になんだよ」
「・・・・・・城下の視察や隣国との会合に同席したり、書類仕事も多いから執務室に籠っていることも多いな。国王と比べれば大した仕事量ではないが」
「王さまって、ルカの父親なんだよな」
「ああ」
「父親が王さまって、どんな感じ?」
我ながら陳腐な質問だと思うが、俺にはわからない感覚を知りたいと思った。
「越えられない高い壁がずっと目の前に聳え立っている感じだな」
「うげっ。圧迫感やばそう」
「はっ、なんだそれは」
短い笑い声に顔をあげれば、口元を少しだけあげたルカの顔が飛び込んできた。なんだ、笑えるんだ。当たり前だけど、ものすごく意外だった。
「仲はいいのか?」
「・・・・・・」
ルカは答えなかった。それがきっと答えなんだろう。
俺にはわからない複雑な何かがあるのだろうけれど。俺になんかぺらぺらと話すはずはない。ルカにとって俺は、ただの性欲処理の道具なのだから。
なんだかそれが、今は無性に切なくて、虚しかった。
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