episode 1

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 目を覚ましたのは、ベッドの上だった。どうしてベッドで寝かされているのだと辺りを見渡せば、だだっ広い部屋の真ん中に置かれたこれまた豪華なベッドだった。なにサイズっていうんだってくらい無駄にでかいベッドの真ん中に寝かされていた。そのベッドには、天蓋までついていてまるでプリンセスのベッドかと突っ込みたくなる様なレースの幕で閉じられている。 「なんだここ・・・・・・」  俺は奴隷として買われたんじゃないのか。奴隷ってもっとみすぼらしい格好で床を這いつくばって・・・・・・って想像してたんだが。そう思いながら起き上ろうとするとジャラジャラと不快な音が聞こえる。  同時に感じる首の違和感に手を当てると、そこには首輪のようなものがはめられている。外そうと試みるが、真ん中に錠がはめられていて外せない。その首輪の後ろから伸びる鎖がベッドに繋がっていた。鎖は長く、遠くまで行けそうだが、逃げることはできないだろう。  状況が理解できないまま自分の姿を見ると、腰ひもで止める着物のようなものを着せられている。着物のようなと表現したのは、袖のところがひらひらとしておらず、袷のところと腰紐の部分だけが着物っぽい服だったからだ。  呆然としていると、遠い位置にある扉が開かれた。そこから現れたのは、俺をここに連れてきたあの男だった。 「目を覚ましましたか」 「・・・・・・なんなんだよ、ここ。ふざけんな。これ外せ!」 「口を慎んでください。貴方は買われたのです。貴方をどうするかは我々の自由。それが奴隷というものでしょう」 「知るか! 俺は勝手にあそこに連れていかれたんだ!」 「貴方の事情は関係ありません。貴方は、ルカ様の性処理の道具としてただ奉仕すればいいのです」 「ルカ? 性処理の道具って、ふざけんな!」  勝手に進められる話に俺がどう反論しようとその男には興味はないらしく、表情を変えることはない。
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