episode 1

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「ルカ様には多少手を焼いているのですよ。ストレス発散を女でなさっておられる。しかし、なにか起きてからでは遅い。その点、貴方のような男でしたら多少手荒くとも平気でしょうし、子どもができることもありませんから。その身体に飽きることがないよう、せいぜい御奉仕してくださいね。人間一人捨てるのは、随分と手間がかかるので」  つらつらと、身勝手な事を話した最後に、物騒なことまでぶっこんでくる。そんなことがまかり通る世界なのかどうかは知らないが、勝手に連れてきて、飽きたからと捨てられるなんてたまったもんじゃない。  そのルカ様ってやつがどんな立場の人間なのかは知らないが、随分と身勝手な男なのだろう。 「ルカ様が来ない日はこの部屋の中でなら何をしても構いません。向こうの扉は浴室や手洗いがありますので、そこまでは鎖は届くはずですから」  そのための無駄に長い鎖なのか。ベッド自体も浴室とかいう扉側に近く設置されている。  男は言うだけ言うと、さっさと出て行ってしまった。名乗りもせず、あの男からは嫌悪のような蔑みの雰囲気を感じる。奴隷に対するものなのか、俺に対するものなのか、はかり知ることはできなかった。軽蔑するような男をわざわざ連れてくるなんてご苦労な事だ。  一人になってよくよく考えてみる。つまりは、そのルカって男とセックスをしろってことだ。そう考えてみると、元の世界でだって一夜限りの・・・・・・なんてしょっちゅうだったし、それが特定の相手だけになるって逆に健全なんじゃないかとか思えてくる。ただ、一つ気に入らないのは、俺が選んでこういう状況になってるってわけじゃない所だ。やらされる感が腹が立つってだけだ。この鎖といい奴隷とされている状況といい。だったら逆に、俺がそのルカって奴を翻弄させるくらいの勢いでいってやろうじゃねぇか。  そして、俺なしじゃいられない。セックスさせてくださいって土下座させてやる。百戦錬磨のこの律様をなめんなよ。
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