ダ・イ・ビ・ン・グ!!

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その日の放課後にはもう行く気満々で、ダイビングマガジンを二人で眺め、マックのポテトをつまみながら大いに盛り上がる。 ダイビングするならまずは、オープンウォーターダイバーというライセンスが必要だと知る。 そのライセンスを取得すること。それを来年の夏の目標に掲げ、頑張ろうと、二人の意見が一致した。 ただ、問題も浮上する。 大きく分けて二つ。 一つは親の承諾。 講習は最低でも三日間。そのうちの二日は泊まりで海洋講習を受けないとならない。 高三の私たち。二人だけで外泊するのは果たして許可が下りるだろうか。いや絶対に降りないと思う。誰か大人の保護者が付き添わない限り無理だろう。そこをどうするかが問題になってくる。そしてまた来年は受験を控えている。遊ぶことばかり考えてると思われれば、きっと両親はいい顔はしないだろう。 あともう一つは費用の問題だ。 スキューバダイビング一式をレンタルするとして、そのレンタル代。オープンウォーターの受講費。それと外泊するホテル代。交通費もろもろ合わせると、かなりの額になるような気がする。私だけのお小遣いじゃまず無理だろう。 それに加えてコロナの問題もあるし、来年の夏、どうなってるのか……。 その辺の先行きは不透明だ。 「ああ、やっぱ無理あるのかなぁ」 ズボボッとコーラを飲み干してチャーは言う。 「お金はとりあえず何とかするとして。外泊だよねぇ……」 「私たち二人だけで泊まりの旅行なんて、絶対許可おりないよね」 「誰かイケメンで保護者になってくれる人いないかなぁ……」 「いやいやケイ。もうこの際だからお姉さんでも誰でもいいんだけどさ。もういっそのこと家族みんな巻き込んじゃう?」 「それはやだなー」 「だよねー」 なんとなく少しテンションが下がりつつ、その日の第一回作戦会議は答えが出ないまま終了した。 帰りの電車で私は、じっとりと背中を伝う汗を気にもとめず、スマホの電卓でお金の計算をする。ウチの大蔵大臣へ、来年度臨時予算案を通すには、どのくらいの額が妥当なのか考える。 来年の夏休みまで、何を犠牲にするのか?小遣い、誕プレ、お年玉、その他すべてを我慢して、ダイビングに割り振ってもいいとさえ思えてきた。 チャーが提案したことなのに、自分からぐいぐいと積極的になっている。 こんな時期だからこそ、何か必死になれるものを探していた気がするんだ。
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