七 10月21日(水) PM1:11

2/2
51人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
「しっかし、ユーキが女子だったなんてなぁ」 「びっくりだったよね」 「見てみろ、バードなんてびっくりしすぎて恋しちゃった」  早々に捕まったぼくらと違って、うまく逃げ続けるユーキ。そして、しつこくそれを追い回しているケイサツのバード。  バード、そんなにしつこいと、ユーキに嫌われちゃうぞ。  そんな余計なことを考えていると、ユーキが、ひらりとバードをかわしてぼくらの方にかけよってくる。そして。 「ハジメ、たかやん、逃げて!」  捕まっていたぼくらのことを、助けてくれたのだった。 「お、サンキュー!」 「あ、ありがと、ユーキ!」  ぼくもたかやんに続いて、ユーキにお礼を言った。  そんなぼくに、ユーキは「じゃ、がんばろうね」なんて笑う。  その顔は、やたらとなんだかかわいく思えて……。  ――いやいや、まさか。バードじゃあるまいし。  なんだかどきどきとする心臓を落ち着かせて、ぼくは、あえてユーキとは違う方向へ走り出していった。 おしまい。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!