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「しっかし、ユーキが女子だったなんてなぁ」
「びっくりだったよね」
「見てみろ、バードなんてびっくりしすぎて恋しちゃった」
早々に捕まったぼくらと違って、うまく逃げ続けるユーキ。そして、しつこくそれを追い回しているケイサツのバード。
バード、そんなにしつこいと、ユーキに嫌われちゃうぞ。
そんな余計なことを考えていると、ユーキが、ひらりとバードをかわしてぼくらの方にかけよってくる。そして。
「ハジメ、たかやん、逃げて!」
捕まっていたぼくらのことを、助けてくれたのだった。
「お、サンキュー!」
「あ、ありがと、ユーキ!」
ぼくもたかやんに続いて、ユーキにお礼を言った。
そんなぼくに、ユーキは「じゃ、がんばろうね」なんて笑う。
その顔は、やたらとなんだかかわいく思えて……。
――いやいや、まさか。バードじゃあるまいし。
なんだかどきどきとする心臓を落ち着かせて、ぼくは、あえてユーキとは違う方向へ走り出していった。
おしまい。
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