独リ書ク恋慕

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「……」  蝉の鳴き声に混じって、米のサラサラという音が部屋に響く。  黙っている和人に景時は人形を見つめながら続けた。 「こっくりさん以外にも百物語とか昔からこの手のやっちゃいけない遊びは良く聞くけどさ、よほどのことがない限りほとんど大したことにはならねぇんだ。手順もそこまでガチじゃねぇし、それをヤバいって気が付かずに実際にやっちまうような連中って大抵霊感ゼロだしさ」  人形の形を整えてやりながら入った米を手足まで行き届くように均等にしながら、更に少しずつ米を詰めていく。 「でもあの動画はマジだった。…あれは遊びなんてレベルじゃねぇ。…多分、あのユーチューバーこのままほっとくとヤバイと思う。他にもネットなんかで報告されてる例を見ると、成功率…つーか、色々変な現象が起きた率ってのがちょっと高すぎンだよな」  詰め終えて米をしまっている景時を放っておいて、洗い物を終えた和人が煙草に火をつける。 「つまりその『ひとりかくれんぼ』のやり方を書き込んだやつは専門家だってこと?」 「さぁな。なんせこんな変な手順の降霊術なんて俺も初めて見るしさ。やり方見てても遊びの儀式ごっこかなんかにしか見えねぇんだけど…」 「気になるからやってみたいって?」 「…そんなとこ。夏休みの自由研究にはもってこいだろ?」 「…………」
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