独リ書ク恋慕

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 もはや完全にやべぇ奴である。  和人自身に霊感がなければおそらく景時はその場でぼこぼこにされて終わっていただろう。 「…こいつらって霊なの? ガキの頃からいるからふつーにそーゆーもンだと思ってたわ」  和人のこの発言で隣の二人が目を剥き、笑顔で景時が「お前面白ぇなぁ~」などとどこかの少年漫画のようなセリフを吐きながら祓ってくれて、そのままの流れでオカルト部に入部してしまったのである。  順応性の高い景時はあっという間に部の不良たちの中に馴染み、それまで真面目な生徒だった彼は瞬く間に不良化した。  和人にとってはそれがどうにも納得がいかない。 「なんで入部したの、お前」 「だってカズ、すっげー憑依体質だからさぁ…。祓っても祓ってもキリねぇし…。毎日見張るなら同じ部にいた方がラクだし?」  景時曰く、和人は道を歩くだけで犬や猫くらいなら一匹二匹は必ずつれてきてしまうような超憑依体質らしく、毎日祓っても翌日にはまた何かしらついているらしい。無論、生きている犬や猫ではない。 「あ、ネズミ」  とかなんとか言いながら和人の肩に手をやる景時に思わずため息が漏れる。  和人の目には本当に景時の手の中にネズミが見えているから笑えない。片手で印を切る彼の手の中で消えていくそれを見つめながら、訊いた。 「んで、ホントにやんの? ひとりかくれんぼ」
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