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「Santa Claus来ないわね……」
「え!?なんて!?」
「だから!Santa Clausよ!」
7歳の妹が遊ぶ女の子の人形のような金髪 (Blonde!とよく訂正される) をなびかせて、彼女は僕には理解できないエイゴで話しかけてくる。
「しゃんく、ろーず……?」
「Santa Claus!何故分からないの!Why!?」
「そ、ソーリーソーリー、ソーリダイジン?」
「What!?」
「も、もう帰るぞ!エミリー!」
俺は“戦士のクンショウ”であるランドセル (クラスの女子やかーちゃんはただボロボロなだけだと言う) を肩に引っかける。誰もいない廊下に出ると、蝉の鳴き声がより一層うるさくなった。
「待って、トモアキ!Wait,Wait!」
エミリーはピカピカの赤いランドセルを抱えて、廊下に飛び出してくる。
いいな、俺もそれが良かった。だって、ナナレンジャーのリーダーってレッドじゃんか。あ、いや、でもブルーも捨てがたい。あーーーでもこの前の回はグリーンがかっこよかった。
「トモアキ?帰らないの?」
何のヘンテツもない、フツーの俺の学校に、ガイジンで、可愛い (クラスの女子なんか全然!足元にもオヨバナイ!) エミリーがいると、俺はマンガの主人公になっちゃったんじゃないかって、時々思う。
「うん、ごめん。帰ろう」
でも、俺はヒーロー戦隊のリーダーじゃないし、マンガの主人公じゃない。
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