僕と「あかね」の十二年

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 忘れもしない十二年前の夏。  小学生だった僕と君は、二人で近所の神社でやってたお祭りに行ったね。  境内にずらり並んだ縁日の屋台。  ソースの焦げる匂い、鉄板とコテが触れ合う金属音、綿あめの入った色とりどりの袋、それに縁日独特のオレンジの光。  君はアサガオ柄の浴衣を着てたっけ。  二人きりで行った、たった一度のデートと言うのかな。  人混みの中を君と手を繋いで歩いたね。  君はあの時、どう思っていたんだろう。  僕は嬉しくて照れくさくて、何ともむず痒い気持ちだったよ。
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