あの少女は

11/11

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
 気づくとその人はいなくなっていた。いつの間にかあの時と同じ光景が目の前に広がっていた。 「あ……」  声がした。 「あの時の子ね。まだ小さいのに来たのね」  なんだか心地いい声だ。 「記憶さえ食べなければみんな来てくれる」  何も言えない。 「おいしかったわ、あなたの知識、知恵、それを得るためのもの」  何か、声の音は変わらないのに、逃げ出したくなった。 「また食べさせてくれるのね」  足が動かない。  少女がこちらを向く。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加