【 第四話: お兄ちゃん会いに来たよ♪ 】

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【 第四話: お兄ちゃん会いに来たよ♪ 】

 最寄の駅から在来線で、新幹線のある大きな駅で乗り継ぎ、お兄ちゃんのいる東京へと向かう。  東京駅に着くと、スマホを頼りに、山手線から地下鉄を経由して、お兄ちゃんのアパートを目指す。 『ガラガラガラガラ……』 「お兄ちゃんの住むアパートは、地図からすると、この辺りだけど……。あっ、あった! ここだ……」  お兄ちゃんの部屋は、2階の3号室。  『2、3(にい、さん)』と、憶えやすい部屋番号だ。 『カン、カン、カン、カン……』  私は重いキャリーケースを抱えながら、アパートの2階まで、階段を上がってゆく。  そして、お兄ちゃんの住む部屋の前で、一度、身なりを整えて深呼吸してから、緊張しながら呼び鈴を鳴らす。 『ピンポーン』 「は~い、どちら様ですか~?」  部屋の奥の方から、懐かしいお兄ちゃんの声がする。 (もうすぐ、お兄ちゃんに会える……)  私はバクバクする心臓を押さえながら、お兄ちゃんが出てくるのを待つ。 『ガチャ』  久しぶりに見るお兄ちゃん……。  う~ん、やっぱり顔はやさしくてかっこいい……。  下の方は……。 「きゃっ! お兄ちゃん、パ、パン……ツ……」 「あっ! わ、若菜!? あっ、ご、ごめん! 暑くてズボン脱いでた……。は、早かったな……」  私は視線をお兄ちゃんから逸らし、少しモジモジしながら答える。 「う、うん……。久しぶりだったから、お兄ちゃんに早く会いたくって……」 「そ、そうか……。ちょ、ちょっと待ってて、今ズボン履くから……」  お兄ちゃんは、慌てていた。  まさか、私がこんなに早く来るとは、思っていなかったよう。  約束の時間は夕方だったので、ちょっと早過ぎちゃったみたい。  お兄ちゃんは、慌ててズボンを履き、部屋の中のゴミをササッと片付けていた。  あの綺麗好きで、何でも完璧なお兄ちゃんのイメージとはちょっと違っていたけど、でもそんな慌てているお兄ちゃんもとってもかわいい。  私はこの部屋の玄関の中で、久しぶりに再会する大好きなお兄ちゃんの姿を見つめながら、いつの間にか笑顔になっていた。
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