マイ・ネーム・イズ・ハジメマシタ

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 僕は家に向かって歩く。今日はお母さんがパートの日ではない。だから家にもなにかおやつがあるはずだ。この前はプリンが作ってあった。仕事が休みの日でもきちんとおやつを作ってくれるのには感心する。  玄関で靴を脱ぎ捨て家にあがった。僕の家は二階建てだ。そんなに新しい家ではないが、黄色い壁にピンクの屋根の可愛らしい家だ。僕の妹のために可愛くしたらしい。妹の名前は志愛(しめ)だ。珍しい名前だが、これも英語で自己紹介すると、シメマシタになる。親が狙ってつけたのはバレバレだ。  僕は自分の部屋に行ってクーラーを点ける。ブンっと音がして冷たい風が吹いてきた。おやつを食べる前に三十分くらい昼寝しようかな。今日は体育があったからへとへとだ。 「肇ー。帰ってるの?」  ドアの向こうからお母さんの声がした。 「うん、ちょっと寝たら一階に行くから」 「そう、可愛い女の子二人が来てるんですよ」 「えっ?」  僕は着替えるために裸だったが急いでTシャツを着てデニムパンツを穿く。玄関に行ってドアを開けると門のところに紀佳ちゃんとルーシーがいた。ゴールデンレトリバーを連れている。
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