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カレーは牛肉に限る、と思っているので、辛杉シンは兄のシゲキと対立しがちだった。
なぜって? 兄のシゲキはカレーは豚肉だろと真っ向から正反対だからだ。
こうなったら、認めさせてやろうではないか。
「最高にうまいビーフカレーを作ってぎゃふんと言わせてやる」
そう決めた俺は、母に買い物につき合ってもらうことにした。自慢じゃないが俺は人が苦手だ。学校では姿を悟られない忍びみたいに振る舞っている。買い物も、一人で行けてコンビニくらいだ。
つき合わされた母はため息をついていたが、スパイスを買い肉を買い野菜を買って、背後霊のようについてくる俺を気にも留めず帰路につく。
「少し歩調を弱めてくれないか母よ」
帰る途中で懇願すると、立ち止まった母は呆れ顔で振り向いた。
「どうしたの。そんなに速く歩いてないわよ」
「神のブーツを履いている俺にとっては速い」
「はいはいシークレットブーツね」
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