『崖っぷちで考えたんだ』 現代語訳・吉井パルス 原作・藤村操

1/1
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

『崖っぷちで考えたんだ』 現代語訳・吉井パルス 原作・藤村操

 世界の恵みの豊かさパない  歴史のすべてにリスペクト  それらに感動したもんだから  たった一五〇センチ程度のちっさい体でそのデカさを把握したろうと決めたんだ  でもよくわからなかった  悔しいことに俺では理解しきれねかった  誰かさんの思想を参考にしよっつのも正解でなく  届かない指がもどかしかった  しかしだ  しかし  これだけはわかった聞いてくれ  古今東西地球宇宙人類存在のすべてはこうとしか言えない 「把握できねェ!」  俺もう自分にも  よくわからん世界にも  絶望しちまった  どうしよ?  これがわかんなきゃ生きてる意味感じないのに  そう  それでえーとだ  も、死んじまおっか  こんなわけわからん世界生きてても意味ねェや  そう云ってもう断崖絶壁に居るのね  来ちゃったのね  死ぬの怖くないよ  絶望のまま生きるよりずっと救いだよ  て、その、そうだ  ひらめいた  デカすぎる絶望てデカすぎる希望とおんなじなんだよ  よかった  最後にこんなこともわかってよかった  ヒトとして誰かに何かを残せただろうこと  まじ良かった  天国行ける  じゃ、ありがとな  あばよ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!