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「今度また宅飲み開くつもりなんで、西畑に持ってきてって言ってみます」
「みんなの前で言ったりしないようにね。彼、そういうのが苦手でこういうやり方したんだから」
「もちろんですよ。『この前のアレ、確か高知の酒器だよな? 友達が前に見せてくれた』とか言います」
「おっ、上手いわね」
「へへ、営業なんで、トークは任せてください」
サムズアップする安城。ああ、うん、これならきっと大丈夫だな。
「天沢さん、今日はありがとうございました! 名推理、カッコ良かったです!」
「またいつでも利用してね。あ、ちょっと待って、解散の前に!」
「どうしたんですか?」
「新しい純米大吟醸の夏酒、入ったらしいんだけど、どう?」
「……いいですね!」
まだ飲むんですか、は彼女にはご法度。
まだまだ飲むのだ。大好きだから飲むのだ。
「リーちゃん、お疲れさま」
「ありがと。今回はキュー君にも感謝ね。謎解きのヒントももらったし、100均で箸置き見つけてくれたから確証が持てたし」
安城が帰宅し、理香さんと2人で残る。割り勘でいいと言ったのに「いえいえ、感謝! 感謝の気持ちですから!」と五千円札をギュッと持たされてしまい、今回は理香さんも根負けした。
「それにしても、可杯かあ、地方にこんな遊びがあるとはね」
「日本酒は地域に根付いてるものだからね。高知も有名な日本酒は多いし。他の田舎探したら、まだまだ面白い飲み方出てくるかもね」
「ですな」
「ですな」
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