いつか今になる将来を、僕は歌う。

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 ※ ※ ※  その日から僕は、岩上先生に助言をもらいつつ、帰宅時刻を早めるために可能な限りの工夫を行った。  いくら工夫してもどうしても残業はせざるを得ないことが多かったけれども、二十時を過ぎても残るような日はほとんどなくなった。  ときには近藤先生はじめ周囲の教員達に渋い顔をされることもあったけど、思い切って職員室を出るようにした。  大丈夫だ。やるべきことはきちっとやっている。授業や学級運営に大きく支障が出るようなことはしていない。  残業を減らしたことは、ギターを始められた以外にも、僕にとっていくつものポジティブな影響をもたらした。  まずなによりも、睡眠時間をしっかり確保できるようになったことだ。  それにより、頭が冴えた状態で翌日学校に向かうことができ、以前より良い授業ができるようになった。  さらに、読書をする時間も増え、指導法や保護者対応のノウハウなどを学び、教員としてのスキルを上げていくことができた。  初めの頃より労働時間はかなり減ったけれども、職場で発揮するアウトプットの質や量はむしろ改善していた。
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