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※ ※ ※
教室にたどり着くと、そこに居たのは一人の男子生徒のみ。
どうやら他の生徒たちは帰ってしまったようだ。二年生の夏になり、最近は学習塾に通う生徒たちも増えてきた。
教室後方の席に座っているその男子生徒——光は、またも机に突っ伏して寝ていた。
こうなっているであろうことは予想していた。
そもそも、ここに光が居るのは、僕が半ば無理やり居残りさせているからだ。
今日提出の英語のワークを出せていないのは、僕のクラスでは光だけだった。
テストの点数も芳しくない光には、せめて提出物にはしっかり取り組んでもらわなければならない。そうでないと、成績表に「1」をつけざるを得なくなる。
推奨はしていないが解答を見ることもできるし、分量としてもそこまで厳しい課題ではないはずだ。
なんとか、このワークくらいは今日で提出してもらおう。
「おい、光」
光の側に寄り、肩を揺する。
「あ、先生」
「そのワークは今日で出すように言ったよな。あと一時間で最終下校だぞ。そんなんで間に合うのか?」
「いやー、ヤバいんじゃないですかね」
「自分でそう思ってるなら、シャキッとして勉強しなさい」
はーい、と言って教材に目を落とすものの、どこか上の空だ。
このままでは、僕が教室を去れば再びサボるのは明らかだった。
「ちょっといいか」
担任として、このまま光が落ちぶれていくのを見過ごすわけにはいかない。
そう考えた僕は、ゆっくりと息を吐きながら光の前の席に腰を下ろした。
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