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第二章:『二人』だからこその『買い物』がしたい。
その後。
私と晋作での生活だが…
夢から覚めて『現実』になった。
私はそれでも嬉しいし、それに晋作も『笑う』のだから。
私は思うだけでもある。
あぁ、本当に愛してる人が笑ってるのは、やっぱり嬉しいなぁ。
それに『私の願い』も叶った。
ただ、私の中で一番、真っ先に発生したのがそう。
『晋作基準』でもある。
夜は相変わらずなのだが…
大抵、私と晋作は『主寝室』に居る事が多い。
**************************
とある日。
一緒に朝ご飯を食べた後。
また晋作が、いきなりだった。
「なぁ、彩香。
これから買い物にでも行かないか?」
最近では私が作った朝食を。
二人で一緒に食べる事は、普通になってきたけれど。
晋作から『買い物』を言い出すのは…
珍しいな?
「別に大丈夫だが…
晋作が?
買いたい物があるのか?」
私は晋作を見る。
とても嬉しそうな顔なのは判るし、笑った。
「あぁ!!
ずっとなぁ、これも前から考えてたが…
前にも彩香が言っただろ?
欲しい物があるなら『自分で買いに行けば』ってな?
でも俺だけじゃなくて、『彩香の意見』も聞きたいし。
だったら、また一緒に買い物に行きたいんだが。」
私の意見?
「買い物に行くのは勿論、大丈夫だが…
私の意見が必要なのか?
晋作の買いたい物じゃないのか?」
私は晋作を見る。
とても嬉しそうな顔なのは判るし、笑って言ってくる。
「そうだな!!
まぁ、俺も彩香もだがな?
結婚はまぁ、これから考えるにしてもだ。
俺が欲しい!!
そして、『俺と彩香の』だから。
彩香の意見も聞きながら、一緒に買いたい。」
なるほど。
二人で使う物だからと。
なら、確かにそうなるな。
私は納得もし、また笑う。
「あぁ、それなら判った!!
ちなみに何を買うつもりなんだ?」
「婚約指輪だ。」
「そうかぁ…
って、何だと!?」
私は普通に聞いていたが、急過ぎて驚く。
すぐに晋作を見た。
さっきと変わらず…
とても嬉しそうな顔なのは判る。
そして凄く笑ってる。
「そんなに驚く事か?
それにまぁ、俺もまた『安心』するし?
結婚はするか、しないか、それはまだ判らんだろうが。
お互いのだから、一緒に買いに行きたい。」
私は若干、動揺する。
そもそも、あの晋作である。
もうこれは…
とんでもない物になるんじゃ?
でも私は先に疑問を聞いた。
「安心だと?
その為に、指輪を?」
「あぁ、そうだぞ!!
彩香だって知ってるだろ?
独身でだ、更に『相手も居ない』と思われる…
そうなると余計な人からだ。
声すら、かかるかもしれないだろ?
でも『指輪』をしてれば、一見しただけで判るからな。
だったら、彩香にも尚更だな。」
あぁ、なるほど。
私もまた納得する。
確かに『恋人が居ない』と思われると。
そういう事もあるからなぁ…
「理由は納得したが…
でも、私と晋作は殆ど『一緒に居る』じゃないか?
それで声が?
かかる気もしないが?」
「まぁ、一緒に居るのはそうなんだがなぁ。
これはまぁ、『彩香』がまたそう。
全く気付いてないんだが。
俺が一緒に居ようと、もう見てるだけで、正直…
彩香の場合、『余計に必要』だと俺もすぐに判るからな。
俺が高校や大学の頃もだが…
若干、苦労はしたなぁ…
でも、まぁ、それも含めての『予防』だな。
今なら確かに、俺が確実に守れるのもあるが…
俺は絶対にだが?
『他の男』が彩香に触れる?
想像しただけでもう、今ですら俺が堪えられん!!」
うん?
高校?
大学の頃?
私は思い出すが…
少し首を傾げながら疑問を言う。
「でも私は…
晋作と違って『モテない』から、余計に心配ないだろ?
学生時代でもだが…
晋作がだぞ?
いきなり最初だぞ?
それ以外…
誰からも声なんて、かかった事もないぞ?」
私は晋作を見ていると、急に首を横に振った。
若干、目を閉じて考えてる様子だが…
また急に目を開けて私を見た。
「もうな、前も少し言ったがな?
俺はずっと最初、声をかける前にも『見てた』んだぞ。
彩香は全く、それにも気付いてないんだが…
俺がもう、『それも』あったから。
真っ先に声をかけたのもあるが…
もう…
危なっかしい!!」
私は驚く。
そんなにか?
何がだ?
「俺は『見てた』からな。
彩香は『周り』を良く見ているのに…
どうしてか『自分の事』は、全然見てない。
もう、俺なぁ。
付き合ってから更にだが、本当に苦労した…
かなりあれは…
俺が駄目だな、うん、そう、俺がもうどれだけ『対処』したか…」
付き合ってから?
苦労?
対処?
「そんなに苦労したと?
何にだ?
だが、私は晋作の側にだ。
いつも『一緒に居た』じゃないか。
誰からも声なんて…
晋作だって、知ってるだろ?
それに晋作だって、かなり目立つからなぁ。
だから…
どちらかと言えば、皆が『晋作』を見てたぞ?」
晋作は、そこで大きな溜息をした。
「あぁ、まぁ…
そう見えてるんだろうなぁ。
だがなぁ、確かに俺も目立つかも知れんが…
ここは正直に言うぞ?
彩香がもう『目立ってた』からな!!
特に大学時代だがなぁ。
もう、あれは『俺』じゃない!!」
私は驚く。
晋作は何やらまた首を横に一度振った。
かなり確かに困った顔もしてるか?
そんな晋作だったが、また私を見る。
「確かに『大学』も一緒、学部もだが…
それでもたまには、離れるからな…
もう、俺が『全部対処』したが、あんなのは…
俺がもう一切、許さんかっただけだ!!
そもそも、あの大学内を思い出せ!?
他の『学部』もあるから、彩香は気付いてないがな?
そもそも、俺達の学部すら『男』の方が多いんだぞ!?
その中でも、彩香が一番、『目立つ』に決まってるだろ!!」
私は、それでまた思い出そうとするが…
「いや、でも…
皆と一緒に居た時だって…
晋作も居たじゃないか?
別に私は、何も言われては…」
晋作の方が首を横に振りながらだった。
「そうだな、あぁ、俺がそう。
あれは『最初』だった。
真っ先に俺が『情報』を広げる事もしたからなぁ。
誰も手は出さないようにもしたが…
それでもだった。
もう、本当に、毎年、毎年。
進学すれば、新入生が、後輩達か?
俺はもう『全部』にだ。
『情報を出し続けた』からなぁ…
まぁ、馬鹿者が居ないだけ、マシだったか?
俺が『規制』すれば、どうにか出来た。
その上に、彩香はもう…
誰よりも『目立ってた』からな!?」
私が!?
どうしてだ!?
「だ、だが、私は特に何もしてないぞ!?
何か『問題行動』もしてないだろ?
それに私よりは皆の方が、大学内でもだが…
皆と、晋作だって居たじゃないか。
私は何もしてないぞ!!」
「彩香?
俺達の大学は、そもそもだ。
更に『学部』だがな。
まぁ、彩香は…
ギリギリ入学で、俺がまた安心したが…」
私はまた思い出す。
「当たり前だ!!
そもそも、晋作が『その大学』に行くって。
聞いただけでも、私はどうするか悩んだからな!?
ギリギリだったが…
これでも頑張ったんだぞ!!」
私は晋作を見る。
でももうかなり、その顔は…
完全に笑ってるだろ!?
晋作を見てると。
もう我慢出来なくなった様子でいきなり爆笑した。
「あははは!!
そうだなぁ、俺も教えたし…
元々、俺達の高校だって、一応、進学校だし?
彩香だって、可能だとも、思うんだが。
まぁ、俺の進路相談後の、彩香の顔は忘れられんなぁ。
いきなりでも、それから受験勉強もか?
何度もう、俺が焦ったか。
懐かしいなぁ。
俺が家庭教師のバイトも多少はしてたから?」
「当たり前だぁ!!
私だって、一緒の大学を考えて聞いたのにだ!!
よりによって『東大』希望だと!?
予想外過ぎて、私があの時、どれだけ頑張ったと思ってる!!」
「あははははっ!!
まぁ、他の志望校もだが、あの時な!!
もう…
でも、彩香だって、合格したんだから…
良いだろ?」
「私はギリギリだ!!
そんな『東大首席』合格した晋作には判らん!!」
「あははは!!
まぁ、とにかくだ。
それはまぁ良いとして…
だからでもあるが、更にまた女子が少ない『学部』なのにだぞ?
もうなぁ、俺は試験なんかよりも、あの彩香が…
既にもう『大学内』ですら、もう目立ってなぁ。
俺はそっちの方が、苦労したから、同じか?
俺も俺で、そうだなぁ。
高校では俺がどうにか出来ても、大学内ではもう。
彩香が目立ってて、俺はもうそれに苦労したんだぞ?」
私は少しまた思い出す。
「まぁ、でも…
皆がか?
晋作も一緒には居たが…
でも…」
そう、確かに女子は少ないが…
でも皆と一緒に笑ってたし?
晋作も一緒だったろ?
私が何かした訳でもないのに?
私は晋作の顔を見る。
でも何かを察した様子で、また晋作は嬉しそうな顔で笑った。
「まぁ、それが『彩香』だからな!!
俺が充分、頑張ったのもあるし?
でもなぁ…
今でもだろ?
『あんな会社』ですら、声がかかってた筈だ。
俺からしたら、そんなの論外だがなぁ。
だからこそ、『俺と彩香』でだぞ?
指輪は『効果抜群』だろ?
だからだ。」
私は確かに、前の会社を思い出す。
まぁ、『指輪』の有る無しだけでも。
確かに『効果』はあるか?
私は晋作を見た。
晋作はまた嬉しそうに笑った。
「だったら決まったな!!
今日は完全に俺も仕事は片付けたし、『買い物』だ!!」
「判った、まぁ、確かに。
理由もだが、一応?
納得はした。」
「よし!!
今日は俺が車も出すからな!!
徹底的にだ!!」
うん?
徹底的?
「指輪以外に、何か買うのか?」
私は晋作を見た。
晋作はまた凄く嬉しそうに笑って言った。
「あぁ、勿論だ!!
この前もだがな!!
彩香のおかげで、俺も学習したぞ!!」
私はまた疑問だけ言った。
「学習?」
「そうだ!!
カタログなんか、もう意味がないってな!!」
「意味がない…?」
私はどうにも嫌な予感すらもする。
晋作はまた凄く嬉しそうに笑う。
「あぁ、これはそう、彩香のおかげだな?
俺は判ったぞ!!
わざわざ、カタログなんか要らない。
そう、買い物に行けばだ。
その通過点でもだな?
気になる物なら、たくさん買えるってな。
それに『価格を判った』のもあるが…
俺は今日、ちゃんと調べといたぞ!!」
私は猛烈に嫌な予感がした。
「調べただと?」
晋作は、座って居た椅子から立ち上がって凄く嬉しそうに笑って言った。
「そうだぞ!!
俺もあれで『充分』だ!!
だったら、今日は俺の目的の『婚約指輪』もだがな?
もう今日は徹底的にだ!!
彩香の服も、彩香の自室も知ってるからなぁ。
だったら、俺が全部だ。
徹底的に買い占めるぐらいで買い物するだけだ!!
まぁ、家具関係は運んで貰うしかないがな!!」
私はすぐに『意味』は判った。
すぐに考える。
「晋作?
ちょっと待て?
そう言うのを『世間』では、何と言うか知ってるか?」
晋作は若干、驚く様子で首を傾げた。
「晋作がすることをな。
『無駄遣い』って言うぞ?
場合によっては…
『衝動買い』だろ…」
晋作は首を傾げたままだったが、不思議そうな顔になった。
「いや?
彩香の物を買うのだから『無駄』じゃないし?
『欲しい物』を買うのだから『衝動』でもないだろ?」
私は若干、また驚いた。
それは『言葉』が…
いや、『意味』をか!?
晋作は間違えて覚えたのか!?
私は猛烈に嫌な予感すらした。
しかも、何を調べた!?
そうして私は初めて、晋作が考えた『買い物』にと。
一緒に行く事になった。
**************************
私も簡単に外出準備をしてだった。
晋作は、仕事用のスーツではなく。
カジュアルな服装だったが…
外にある普段の車とまた違うのに気付いた。
「あれ?
こんな紺色っぽい車、あったか?」
晋作がそれに気付いて、笑って普通に言った。
「あぁ、これは職場の方に置きっ放しだったやつだ。」
そうか。
なるほど。
「私の場合、ペーパーだから車には詳しくないんだが。
つまり、2台あったのか?」
「いや、3台だな?
もう1つは違う場所にあるか?」
「違う場所?」
「あぁ、別荘の方にある。」
別荘だと!?
初耳だが!?
私は晋作を見る。
晋作は不思議そうな顔だった。
私はもう頭からそれをすぐに掻き消した。
『晋作基準』なのだから、それはもう良いか。
そんな私に何事もないように笑って言った。
「よし、助手席に乗ってくれ。
俺はそのまま移動するが、時間通りなら充分買えるぞ!!」
私はまた疑問だけ言った。
「時間通り?」
晋作は嬉しそうに笑ってまた言ってくる。
「そうだな、店の開店時間も調べてある。
だから『今すら』も予定通りだ。」
それは事前にまた『調べた』って意味か?
一応、私は頷いて、車の助手席に座る。
シートベルトをしてる間、晋作も運転席へと。
私は車には確かに詳しくないが…
この車内…
随分、今までと違うよな?
「なぁ、晋作?
この車だが、何か名前と言うか…
メーカーか?
何て名前だ?」
晋作もシートベルトやエンジンをかけながらも。
そのままで言った。
「名前?
トヨタのレクサスだな。
確か、レクサスのES300h、versionLだったか?」
うん?
トヨタは判るが…
『レクサス』って聞いた事があるような…
詳しくないから判らないが…
普通の車と、どう見ても内装が違うんだが?
「これ、いくらだったんだ?」
少し考える様子をする晋作が、遠隔か何かで家の門を開けながらだった。
「確か…
700万ぐらいか?
あまり?
移動用にと、気にしないで買っただけか…」
私は動揺した。
700万だと!?
それをただ、気にせずに買ったのか!?
私は少し焦りながら考える。
もしかして、私は…
晋作に『買い物』をだ。
間違ってしまったか!?
教え方が悪かったか!?
いや、まぁ、自分でとしてるから…
店側には、問題は確かにないか?
だが…
さっきからずっとなんだが。
『調べた』って言った言葉だ。
猛烈に嫌な予感がするんだが…
「晋作、ちなみに…
これからどこに行くんだ?」
車を外に移動させ門から出て、また何やらしている晋作に聞いた。
「あぁ、銀座だ。
ここから25分前後か?
それぐらいで到着だな。」
私はまた動揺する。
銀座!?
晋作が!?
何をどう調べた!?
私は晋作を見る。
察したのか晋作は私を見て笑った。
「大丈夫だぞ!!
今日でもう彩香の物は『全部』揃う。
これで『完璧』だ!!」
私はまた動揺どころでもない。
今日で!?
全部!?
何が完璧なんだ!?
私はそう思いながらも見るが…
晋作は、とても嬉しそうだった。
そして普通に車を走らせた。
**************************
確かに到着したのは『銀座』である。
車をまた簡単にパーキングに停めてからだった。
晋作が、また嬉しそうに私の手を握って笑う。
「よし、そろそろ時間だし、行くぞ!!」
「あ、うん。
それは判るが…
もう、行く場所も決めてると?」
「勿論だ!!
まぁ、先に『服一式』をだな。
試着して一番、気に入ったのをそのまま着て行こう。
今着てる服は持ち帰っても、どうにでも出来るだろ?」
「え!?
もう買う店も決めてるのか!?」
私は晋作を見ると目が合った。
そしてまた嬉しそうに笑った。
うん!?
今、笑ったな!?
「あぁ、少し前に彩香が一緒に買い物にと行った時だ。
手に取って、戻す服関係は見てた。
だから『予測』するだけだな。
でもまぁ、これから行く場所でなら…
他のも『たくさんある』だろう。
何も問題ないな。」
「待て!!
私は別にそれ、せめて『貯金』を降ろすから。
欲しいのは自分で買える!?
いや、銀座のを買う気にもなれん!!
絶対高い!!」
晋作はまた少し笑って、首を横に振った。
「何度も言ってるだろ?
俺は『彩香限定』だが。
『金』なんて出させる程、甲斐性無しでもない。
何も問題すらないし、これはもう変わらんな。」
私はもうまた動揺する。
これは、もし、私のせいだったら…
とんでもない事を…
また、しそうなんだが!?
そんな私を気にせずに。
晋作は手を繋いで移動をするのだった。
**************************
「ふむ、時間通りだな。
人も多いが、まぁ、でも平日だしな。
この程度が普通か。
店の開店時間もそろそろだな。」
そうして開店なのだろう。
確かに店に人が入って行く様子を私も見た。
「最初はここでまぁ、簡単に揃えるか。
他の店も多くは11時の開店だったし。」
私はそれを聞いて『確信』した。
これは本当にルートまで含めて、時間まで『全て計算』した!?
それは調べるどころか…
何をするつもりだ!?
晋作に嬉しそうに笑って言った。
「よし、入るぞ。
最初は『TOMORROWLAND銀座三越店』だな!!」
そうして私は晋作に連れられてだった。
もう何も言えないんだが…
私はこれから何が起こるかが、全く予測不可だが!?
そのまま連れられたまま、私と晋作は、何やらレディース店に入った。
私も少しその中を見る。
これはもう、明らかに…
今までとも違う!?
私は既に困惑中でもある。
「ふむ。
確かそう、ここなら可能らしい。
最初は彩香も判らないだろうし。
ちょうど良いだろう。」
「晋作、何がだ!?
私はもっと何も判らないぞ!?」
私は焦りながらも晋作に慌てて言うが。
晋作は私を見て笑う。
「ここだとな。
ショップの『店員の情報』を見つけたんだ。
『全て』のコーディネートもしてくれるし。
更にアドバイスまでくれるそうだ。
かなり『人気』らしいぞ!!
確かに取り扱ってる『店員達の方』が詳しいだろう?
『彩香』にと、似合うコーディネートすらも簡単だろうからな!!」
何だと!?
コーディネート!?
そして晋作は店員に声をかけると、店員も対応する。
「すまないが、今は大丈夫か?
この『女性』にだ。
一番似合う『コーディネート』を頼めないか?
店内の『どれでも可能』だ。
それに『店内にある全て使ってでも、何着でも』だ。
その中の一式は、そのまま着て移動する予定をしてる。」
言われた店員の方も少し驚く様子で晋作を見たが、すぐに視線を私に向けた。
でも何やら判った様子で、晋作へと笑顔で対応した。
「勿論ですよ。
この『彼女』さんに似合うコーディネートですね。
任せて下さい。
当店は『全て』揃ってます。
似合う物にと『全て』選ばせて貰うのにですが。
当店でも判り易いので一応、『上限』はどれぐらいの予定かだけ。
最初に皆さんへと、聞いてますが?」
晋作は少し笑って私を見る。
そしてまた店員に言った。
「彩香には『上限なし』だ。
こちらが全て、何も問題すらない。
何着だろうが、似合うように頼む。
もし『運べないぐらい』なら。
送料もこちらが出そう。」
それを言われた店員はまた若干驚く。
でも『意味』には気付いた様子で少し笑う。
その店員の方が、また私を見ると笑う。
「判りました。
これだけ綺麗な女性です。
こちらも楽しみです。
きっとお客様も、ご満足できますよ?」
晋作は笑って言った。
「あぁ、そうだろう?
この店の人気も聞いてるからなぁ。
俺も楽しみにしていようか。」
「それは当店としても、嬉しい事です。
でしたら、当店でも『全力』です。」
晋作も少し笑う。
私はもう驚いて何も言えない。
だが、その言われた店員がだった。
スッと何か合図っぽい事をすると、他の店員数人が反応したのを私は見た。
何だ!?
今、何かしたか!?
急にどうした!?
そして店員の方が私に笑ってスッと手を伸ばす。
「素敵な彼氏さんですね?
当店では『全て』が揃ってますから、何も問題ありませんよ。」
「あ、え!?」
えぇ!?
今のは何だ!?
**************************
そうして私は数人の店員の試着室へと移動するのだが。
もう困惑も良いところである。
勧められままに服やら何まで『全て』だった。
確かに靴もそう、合わせたアクセサリーまで。
けれどそれだけでもなく、若干、髪型まで更に服に合わせ、アレンジされた。
その一着をだ。
着たまま、私が試着室から出た。
もう困惑過ぎて、何が何だか?
晋作は携帯で何かしてる様子だったが。
店員が近付いて、何か言った?
そして私を見た。
若干、また驚く様子をしたがすぐだった。
凄く嬉しそうな顔になって笑った。
うん?
晋作は、そのまま私に近付いてからだった。
「あぁ、確かに!!
これが人気になる理由か!!
凄く彩香に、良く似合ってるぞ!!」
私はもうどうにかと言った。
「し、晋作。
もう、訳が判らんぐらいだったが…
店員さんすら…
とても、嬉しそうなのもだが?」
晋作はまたそれを聞いてか?
少し笑って言った。
「なるほど。
あの『情報』か、なるほど。
それでか?
あはは。」
私は疑問だけ言った。
「情報?」
晋作はまた私を見て笑った。
「いや、何でもない。
なるほどなぁ。
これなら、確かに人気になる…
これもまた『学べた』なぁ。
彩香のおかげだ!!
だったら、『今は』そのままの姿で良いな?
まだ店もあるぞ。」
私はまた動揺する。
その『情報』って何だ!?
何をまた学んだ!?
更にまだ、店もあると!?
晋作の方はまた嬉しそうに笑っていたが、店員に視線を向けた。
最初の店員が笑って近付き晋作にと言った。
「どうですか?
一応、他の一式も数種類はありますが。
その中でも、『今なら』これが一番だと思いますよ。」
「あぁ、確かに。
これで良い。
それと『他の一式全て』だ。」
店員も笑って言った。
「はい、ではこちらで。」
そう言ってから店員が離れていった。
晋作は私にまた嬉しそうに笑う。
「彩香は、そのまま少し待ってくれ。
すぐに戻るから。」
「あ、あぁ…
でも、まさかだが、買う気か?
だが、これはでも…」
そう、もう私が着てた服と、既に生地すらも違う!!
明らかに高いだろ!?
しかも靴やらアクサセリーまで。
本当に『一式全て』だぞ?
でも晋作の方が会計の方に行くだけ。
本当に数分程度で、またこちらに戻ってきた。
「さて、彩香。
次もまだあるんだが…」
晋作は何やら私を見たまま止まった。
そして目を閉じた。
うん?
どうした?
急にまた止まったな?
「なるほどなぁ。
これなら、確かに。
俺も嬉しくはなるな。
ふむ、これが買い物…
良い事だ。」
「待て、晋作!?
何がだ!?
先に『理由』をだ。
勝手に納得するな?
何かまた、違う気がするぞ!?」
目を開けた晋作だったが…
また嬉しそうに笑った。
「大丈夫だぞ。
彩香ならもう、『今』の服も全部似合うぞ?
もう、いくらでも、買って良いかも?」
私はまた動揺する。
ちょっと待て!!
何かまた違う『認識』をしてないか!?
私は心配なのだが!?
**************************
「まぁ、一番の目的の物を買いに行くか!!」
私は動揺するも、また思い出す。
一番の目的?
「指輪か?
まさかだが、店も決めてるのか?」
晋作は少し笑って私を見る。
本当にまた嬉しそうに笑った。
「一応な。
でも…」
晋作は私を見たまま止まった。
そして目を閉じた。
うん?
また止まったな?
「なるほどなぁ。
うん、俺はそれでも充分だ。」
「なぁ?
さっきから、何がそんなにだ?
一体どうした?」
晋作は目を閉じたままだった。
だが、全く違う事を言った。
「彩香に少し聞いても良いか?
試着室の店員は『メジャー』を持ってたか?」
私はそれを聞いて少し思い出す。
「うん?
メジャー?
あぁ、確かにあったな。
でも、あれってなんだ?
服でもまさか作らせる気か?
でも…
試着室の服だったが?」
「なるほど。
本当に『情報』通りなんだな。
俺はまた、楽しみだ。
うん、それは、そう。
いくらでも買う。」
「だから何の情報だ!?」
晋作は目を開けてから私に少し笑って言った。
「いや、実はあそこの店はな。
他の店とも繋がってて『提携』してると。
その提携した他の店にも『一式』を頼めるらしいとの『情報』だ。
それの単語が、『上限なし』と『運べないぐらい』って言うと。
店員達が試着室で、コーディネートをしてくれる間に『全て』のサイズを確認。
そして『自宅』の方へと、他の店からの『一式』が届くんだと。」
私は考える。
つまり、他の店との繋がり。
更にそれを言うと。
その他の店からの『一式』が『自宅』に届くと。
「それは、つまり。
あの時に『別の服』まで買ったのか?」
晋作は凄く嬉しそうに笑って言った。
「そう、自宅に届くのは『夜用』の服なんだそうだ。
どんなんだろうな?
一応、情報によると。
まぁ、かなり『人気』みたいだぞ?」
私は『意味』にようやく気付いた。
夜用!?
あのメジャー!!
つまり、下着類や夜用の服を!?
「ま、まさか。
だから、あの店員さんが。
笑ってたのは…」
晋作はまた凄く嬉しそうに笑って言った。
「いやぁ、凄いな、こんな情報。
俺も『初めて』だな?
勿論、普通の店としてのコーディネートはしてくれるし。
それも人気らしいがな。
ただ、その『単語のみ』だそうだ。
調べるついでに、見つけたのは確かにあるが。
まさか、本当なんだな?
どんなんだろうな。
それに『今の服』も確かに似合ってるし?
全部が『情報』通りだし?
俺、かなり、楽しみなんだが?」
私はまた思い出す。
「まさか…
さっき、店員さん、言ってたよな?
『今ならこれが』って。
そういう意味か!?」
晋作はもう凄く嬉しそうに笑った。
「あぁ、多分、『昼間』のコーディネートだと。
一番って意味か?
だったら、今でも確かに凄く似合うし?
『夜用』のも人気みたいだし?
俺は楽しみだな!!
凄いだろ?
買い物、俺、もっとしたいんだが?」
私はもう、晋作が完全に『買い物』を。
間違ってると判る。
「いや、待て!!
それなら別にまた買えば良いのに!?
何でそんな『裏情報』っぽいのまでに手を出す!?
怪しいだろ!?
それで金を出したのか!?
もし届かなかったら、どうするんだ!?
もうこれ、新手の詐欺だったら、どうする!!」
晋作の方は少し考える様子だったが、少しまた笑う。
「いや?
金はちゃんと、今日の分だけだったぞ?
会計の時にだが言ってたぞ?
『他の一式は着払いで一緒に』って。
だったら、それが来た時に、金を出して買えるんだろ?
詐欺でもないな。
俺もちゃんと調べて、そんな『被害』も出てないし?
更に人気、だから、凄く楽しみだ。」
私は判った。
そうか、そもそも。
晋作がだぞ?
情報として出た際に既に調べるか。
だが…
「それ、晋作だけだろ!?
少し、私は心配になるんだが!?
何が届くか、判らんだろ!?」
晋作も少し不思議そうな顔でまた私を見た。
「そうだが…
でも、今のところ、全部が『情報』通りだぞ?」
私はもう、何も言えなくなった。
それは…
本当に『買い物』なのか!?
何だかもう違うだろ!?
**************************
そうしながらも、晋作が手を握ってから移動中。
私からしたら、普段すらも銀座なんて来る訳もなく。
更にさっきのダメージでもう何だか訳が判らない気分にもなる。
でも晋作の方はもう、嬉しそうな顔のままだった。
まぁ、でも、晋作が嬉しそうなのは…
良いんだが…
ちょっと『買い物』の認識が…
完全に間違ってる気がしてならない。
そんな様子の私にまた新たな衝撃がくる。
それは『一番の目的』を買うらしい店である。
私はその店に入ろうとしている晋作を慌てて止めた。
「ちょっと待て!!
まさか、ここのを!?
それを買う気か!?」
晋作がまた不思議そうな顔でもあった。
「その予定だが?」
「いや、でも、指輪なんだろ!?
それを『ここ』でか!?
私でも知ってる!!
ちょっと待て、それは高い!!
絶対に高い!!
指輪ならもっと安くて良いだろ!?
私が着けると!?
いや、ちょっとそれは…」
晋作はでも凄く嬉しそうに笑った。
「そうでもないぞ?
俺の周りでだと、結構多いし。
大丈夫だ。
それに対応もそうだが、最初はここが普通らしい。」
普通だと!?
だが、ここは…
私は完全に焦る。
もうここは、知ってるどころでもない!?
でも晋作の方は、また嬉しそうに笑う。
そのまま一緒に店の中に私も入る。
私は一体、どうすれば…
そう、晋作が予定してた『指輪』の店だ。
『 Cartier』だった。
中に入ってからもだ。
もう晋作は普通だが、私はどうすれば!?
本当に、ここで!?
いや、結婚指輪だって、なかなか無理だろ!?
ただの指輪じゃ駄目なのか!?
そんな私はもうどうにもならないのだが。
晋作は、入ってすぐに店員に視線だけ向けた。
すぐに店員がスッと笑顔で来た。
「お客様、本日は何をお探しでしょうか?」
晋作は普通に笑って言う。
「あぁ、婚約指輪を買いたいんだが?」
「かしこまりました。
では、こちらです。」
また店員の方はスッと動く。
私はもう動揺どころでもない。
でも既に店内だ、何か騒げる状況でもない。
どうにか晋作を見る。
それに気付いた様子でだ、また晋作は嬉しそうに笑う。
「彩香も、どんなのが良いか教えてくれ?
それと一緒に買えば、問題なしだ!!」
本気で今、ここでか!?
まさかだが、即座に買う気か!?
もう既に店内だけでも目眩がするのにか!?
どうにもならない状態の私の手を握って、晋作が店員の方に移動する。
更に階段も登る。
もう私は単純に連れていかれるだけでもある。
少しして、店員がだった。
「ご希望の物が、既にお決まりですか?」
「いいや、この『女性』に選んで貰ってからだ。
それに俺は合わせれば、何も問題すらない。」
その店員が私を見た。
すぐに何かを理解した様子に笑って、その店員も対応を少し変えた。
「かしこまりました。
本日はブースも空いてます。
すぐに対応が出来ますので、そちらでお待ちください。」
私はもう、どうにもならないのだが…
なぜか応接されてる?
なんだこれ?
うん?
全く判らんが?
そうして座ってからだ。
違う店員が飲み物まで出して来る状態。
もうどうすれば良いのか判らない。
でも、さっきの店員がまたすぐにその場に来た。
「宜しければ、どういう物がお好みを、お聞きさせて頂ければ。
他のデザインなども、それに合わせて選んでお持ちしますが…」
最後の方の言葉は、もう完全に視線が私に向いてた。
私は晋作をすぐに見る。
でも晋作は、また嬉しそうに笑って普通に言った。
「別にどれでも俺は良いぞ。
彩香が好きな物を選べば良いだけだな。」
私はまたそれにも動揺する。
私が選べと!?
どれでもって言うが…
どれも高いだけだろう!?
『値段』すら、聞かんのか!?
私はまた店員を見る。
だが、これは晋作の言動だろうか?
明らかに私も見て、それにと対応すらも変えた。
「急には難しいと思いますが…
こちらの中から、どれか一つでも。
選んで頂ければ、他はこちらが合わせますよ?
こちらがご用意もいたします。」
私はどうにか考える。
それでも、宝石がついてない方がマシか?
動揺しながら、でも僅かに答える。
「その…
シンプルなデザインで、良いけれど…」
そうするとまたすぐ店員の方がだった。
「シンプルですか。
では、こちらのリングなどは、どうですか?」
私はそれを見ると、確かに一つ。
これはまさかのダイヤモンドかもだが。
大きくはない。
でも明らかなロゴがあるな?
そう、ブランド力を出されると…
私はどうにも判らず、首を傾げる。
「では、こちらのリングはどうでしょうか?」
すぐに店員が違う指輪を出してくる。
若干、驚くがそれを見た。
あ、細めだ。
だけど、さっきより石が多いか?
でも花っぽいか?
確かに綺麗だが、でも…
その時だった。
「ふむ。
彩香、さっきよりも『今の指輪』だろう?
それで良いぞ。」
私は驚き、すぐに晋作を見る。
でも嬉しそうに笑ってるのも判る。
だが、でも…
これはもう、明らかに高いだろ!?
私はどう、答える!?
必死にでも考えるが…
また晋作は笑って言った。
「値段とかは気にするな。
彩香が気にいるのであれば、何も問題すらないぞ。
それにさっきのより、今の指輪の方が似合いそうだが?」
私はどうするか焦る。
でも晋作の方が今度は、店員の方を向いて言う。
「さっきのより。
今の『その指輪』の方が、似合いそうだろう?」
そうすると店員の方も理解した様子で笑って言った。
「そうですね。
とても指も細くてお綺麗ですから、『この指輪』の方が似合ってると思います。」
「なら、決まりだ。
だったら、それで良い。」
店員は理解した様子で晋作にと笑顔のまま聞いた。
「かしこまりました。
では、この『バレリーナソリテールリング』ですね。
こちらは、今のプラチナと、もう一つ。
ピンクゴールドもございますが、どちらをご希望しますか?」
私は勝手に話が進んでしまってるのにまた焦るが。
晋作が私を見るのに気付く。
私もまた晋作を見る。
その顔は少し考えてるか?
どうすれば…
でもすぐに晋作はまた嬉しそうに笑った。
そして店員の方を向いてだ。
「そうだな。
彩香には、今の『プラチナ』の方を選ぼうか。
その方が似合うだろうしな。
俺の方は、それに合わせてくれれば問題ない。」
「かしこまりました。
では、指のサイズだけ確認をさせて頂ければ、在庫の方からご用意いたします。」
そう言ってすぐに店員がまた動く。
サイズの確認などもだった。
勝手に話が進み、私からしたら値段すらも判らないのに。
二人になった時に私はすぐだった。
晋作の顔を見る。
でも凄く嬉しそうに笑ってるのも判る。
「きっと、さっきのなら彩香には似合うと。
俺も思うからな。
大丈夫だぞ?」
「でも…」
私は何も言えなくなる。
スッと晋作の方が私の頬に触れてくる。
今度は優しく笑うのを見た。
「まぁ、今日。
いきなりだからな。
でも俺がそれで『安心する』のもあるからな?
だから『俺の為』にも、着けてくれてると嬉しいだけだ。」
私もスッと晋作の頬に触れる。
いつも晋作は『大丈夫』と言うが…
私は何か出来ないだろうか…
晋作も少し驚く顔をしたが、でもすぐにまた笑う。
「これで『指輪』は決まりだ。
向こうが準備してる間にまだだぞ?
今日は『他もある』からなぁ。
まぁ、予定通りだ。」
私はまた動揺する。
まだ買うのか!?
「それに食事もだぞ!!
特に彩香はだ。
もっと食べないといけないんだからな!!」
こんな状態で、更に食事もか!?
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私はその後も晋作に連れられながら。
銀座であちこちの店でだった。
和光インテリアショップでも家具だの。
東急プラザでの雑貨だの。
更に他のレディース店でもだった。
最初とも若干、違っても。
晋作は笑って、店員にも言うのだ。
『店内にある全て使って、何着でも可能だ。
この女性に似合うなら、そのまま全て一式を購入する。』
GINZASIXでの食事もそう。
既に困惑状態だったが、それでも食べるようにと。
本当に『徹底的に買い占める』ぐらいな勢いだった。
最後の帰る前にと、指輪の確認も。
それもすぐに、指にとだった。
私はもう、家に帰ってからすぐに少し自室に蹲った。
今日はもう…
確かに困った…
いや、違うか?
もう何も判らん…
でも…
私はもう既にと、左手の薬指にだった。
それを見る。
明らかに高いだろう、この指輪…
『だから俺の為にも着けてくれてると嬉しいだけだ。』
そう言った晋作の顔がまたすぐに浮かんだ。
そうだなぁ。
私は考える。
でも、私も何か…
今度はそうだ。
せめて何か、仕事とか?
よし!!
次は私だぞ!!
少しぐらい、何か手伝うぞ!!
私は少し笑いながらも、指輪を見た。
そしてまたリビングの方へと戻った…
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