何かを『協力』と、だったら『専属』に。

1/1
前へ
/18ページ
次へ

何かを『協力』と、だったら『専属』に。

晋作(しんさく)と暮らし始めてもう随分経つ気もするが… でも未だに慣れない事が一つ。 『晋作(しんさく)基準』なのだが… その『原因』が判った事にも衝撃的だったな? けれどこれは… もう『規格外』の中でも、『特例』なのでは? でも… 『晋作(しんさく)晋作(しんさく)』なのは変わらんな? まぁ、私も出来る事があるなら、それを手伝う事でもあるが… ふとまた、思い出す。 そう、一度、とんでもない『買い物』に付き合った時の事だ。 あの後に『届いた荷物』にだ。 確かに本当にピッタリサイズ。 透け感すらも上手く使った、あの綺麗なナイトランジェリードレス。 花や綺麗な刺繍までも、生地すらも凄く滑らかだったし? 更にそれに合わせた下着すらも、『全て』がトータルコーディネートされてた。 確かに『拘り』があるのも、私すらも判るが… けどもう、あの後の晋作(しんさく)の方が凄かった!! もう私の翻弄どころではないだろ!? だがなぁ… もう『あの店』には行かん!! どんなに 強請(ねだら)れてもだ!! ************************** とある日。 ある程度の家事も終わった。 よし、今日こそ聞いてみよう!! 今の私は『いつも』晋作(しんさく)ばかりだ。 だったら、晋作(しんさく)の何か『仕事の手伝い』を… 今はずっと『晋作(しんさく)ばかり』ではないか。 それだったら、私が出来る事をしたい!! 大抵、リビングか主寝室に居る事が多い晋作(しんさく)だ。 先にリビングに行くが、居ない。 私はまた移動をする。 主寝室に居る晋作(しんさく)を見た。 ベッドの上でどうやら、また、『あの携帯』か? 「なぁ、晋作(しんさく)? 今は少し、時間は… 大丈夫か?」 それですぐに私を見た晋作(しんさく)が笑う。 「あぁ、大丈夫だが。 何かあったのか?」 そう言うと持っていた『携帯』をサイドテーブルに置いたのを見た。 もしかして… 『あれ』も仕事か? 私はそれからすぐに晋作(しんさく)の居るベッドの方へ… 晋作(しんさく)の側まで行った。 うん? 少し不思議そうな顔か? 「なぁ。 私も、ちょっとでも『晋作(しんさく)の仕事』を。 少しぐらい、『手伝いたい』んだが…」 私はそのまま晋作(しんさく)を見る。 凄く驚いた顔になった。 「彩香(さやか)が? 別に『仕事』はしなくても…」 私は首を横に振って、それでもと思い、更に近付いた。 「だって『いつも』だろう? いつも、『晋作(しんさく)が私に』だろう? だったら、私も何か手伝いたい。」 若干、また驚く顔をしたが、少し考えてる様子にも見える。 「仕事でも、『晋作(しんさく)の手伝い』なら。 尚更、私は安全だろ? だったら、何か『手伝えない』か?」 少しまだ考えてる様子でもあるが、晋作(しんさく)が私の方を見てだった。 「安全?」 「あぁ、晋作(しんさく)なら、私が『どれぐらい』出来るかも知ってる。 それに『無理』がない、スケジュールすらも『簡単』だろう? 私の事も判る。 だから『安全』だし、『安心』出来るだろう? 『晋作(しんさく)の仕事』だけ、少し手伝いたいんだが?」 「つまり、俺の仕事の一部を? だが…」 私は晋作(しんさく)を見るが… まだ何か考えてる様子にもだ。 でも困ってる程でも、これはないか? 私はスッと手を晋作(しんさく)の頬に触れる。 これは… 迷ってる顔か? 「私だと、無理か? 私だと『晋作(しんさく)の為』には… 何も出来ないか?」 動揺した様子になった晋作(しんさく)だったが、またすぐに目を閉じた。 「俺は彩香(さやか)に、これ以上… 無理すら、させたくもない。 それにもう『充分過ぎる』だろう?」 私は疑問だけ言った。 「充分?」 晋作(しんさく)の方が目を開けて、私の頬に触れてくる。 困ってる顔か? でも少し違うな? 「俺は… もうあれだけ『無理』をした彩香(さやか)を知ってる。 だからもう、今は『充分』だと。 俺からすれば、こうやって一緒に暮らせるだけでもだが… ずっと彩香(さやか)を、あれだけ苦しめてたのに。 それでもまだ、俺の側でだ。 『俺だけ』を、思ってくれる『彩香(さやか)』が居るだけで、充分過ぎると。」 「でも… 今は『晋作(しんさく)ばかり』だろう? 具体的な仕事は判らないし、深くも聞かないが… 何か『晋作(しんさく)の一部』でも、駄目か? それに晋作(しんさく)がだ。 その手伝う仕事を渡す、少しすらも。 きっと『私の事が一番判ってる』から、尚更『安全』だろ? それに…」 私は晋作(しんさく)の顔も見る。 この顔は… やっぱり駄目か? 私は考える。 だったら… 『他の方法』も考えれば可能か? せめて自分の『食費』ぐらいなら… それぐらいなら、『外でも稼げる』か? そうすれば、少しは『手伝いの代わり』になるか? 私は晋作(しんさく)から手も離して、少し数歩下がる。 窓の方を、外を眺めながら、また私は考える。 この家は広いからなぁ。 まぁ、外に出る必要もないぐらいだが… 買い物ぐらいしか、実際に出てないしなぁ? きっと、この家に近くにも、バイトだって… 「彩香(さやか)、まさかだが… また『どこかで働こう』と、考えてるんじゃないだろうな?」 私は驚いて、また晋作(しんさく)を見る。 「この家の近くにも、少しぐらいのバイトなら…」 「駄目だ!! そんな『必要』はない!!」 遮るように晋作(しんさく)が言った事にまた驚く。 それで晋作(しんさく)の顔を見て、あの『強い目』だとも気付く。 私はまた何も言えなくなる。 だから、晋作(しんさく)から視線だけ外した。 どうしてだ? 怒ってる様子でもないが… それに今なら… 私は殆ど、『何も出来てない』のに。 家事と言っても、この程度なら… 別に『他で数時間』ぐらいでも。 私には『無理』すらならないが… 「彩香(さやか)は… 『働きたい』訳でもないだろう? ただ、また『俺の為』にだろう?」 私は若干、驚いて、また晋作(しんさく)を見た。 その顔は… 「どうして、また… そんな悲しそうな顔をする? 私なら、何も『問題ない』のに…」 「今でも『俺の為に』と、『家事』までしてるのにか?」 家事? まぁ、でも… 「それすら、何も足りないだろう? なら、ない事と変わらないだろう?」 私は不思議そうな顔の晋作(しんさく)を見た。 「足りないと? 彩香(さやか)、それは何がだ?」 私は首を横に振って、また窓から外を眺めたまま言った。 「あの程度じゃ、私が普段食べている『食事以下』だ。 外でも、まぁ、正確にではないが。 『最低時給』のバイトですら、1時間、働いても… 所詮、稼げても、約1000円程度だろうからなぁ。 『あの程度の家事』なんて、外で働いたら1000円以下だ。 それなのに… 私が今、食べてる『食費以下』にしか、ならないだけだろ? それを『何もしてない私』が食べてる。 それもまた、『晋作(しんさく)だけ』が働いてだ。 私は何も出来てないのに。 『自分の食費』ぐらいは、稼ぎたいが… 皆が必死に頑張って、働いてる中で、それしかない食事だろう? それなのに私がずっと、『晋作(しんさく)ばかり』働いて、何もしてない私が食べているのは… 変だろう? だから、『晋作(しんさく)の仕事』なら、少しぐらい。 『晋作(しんさく)の為』にもなるし、『仕事を手伝う程度』ならと…」 私は少し、前を思い出す。 外で暮らす皆は、そうやって『生活すらしてる』のに、更に今の私は… 「彩香(さやか)は、また…」 私はずっと外を眺めて考える。 きっと、皆は今もそう… 私はいきなり引き寄せられて、キスをされる。 軽めなキスだった。 唇が離れて、晋作(しんさく)が言ってくる。 「彩香(さやか)は… そうやって、また、いつも『周り』ばかりを… 『俺すら』もだったのに… それがまた、俺が『心配』なんだ。 また無理をするのが、『傷付く』のは、『彩香(さやか)』なのに…」 私は晋作(しんさく)を見る。 この顔は… 困ってるか? また少し違うな? これが、そうか、『心配する顔』なのか? 私はスッと手をまた伸ばして晋作(しんさく)の頬に触れる。 「私は今、『晋作(しんさく)』と、こうしているだけで… ここに居られるのは嬉しい。 でも今は… 『晋作(しんさく)ばかり』だろう? それだと、晋作(しんさく)ばかり、大変だろう? なら、少し、『晋作(しんさく)の仕事を手伝う』事ならと、考えただけだ。 晋作(しんさく)の『負担』だって減る。 それに、晋作(しんさく)が『一人』でするのも『変』だろう?」 晋作(しんさく)が少しまた驚く顔をしたが、すぐに目を閉じた。 「彩香(さやか)は… また、『俺』をか… 更にまた『周り』ばかりを、それは…」 どうした? 考えてるのか? 「彩香(さやか)が『外で働く』事は… 絶対に『駄目』だが… 彩香(さやか)は、俺の仕事を、『少し手伝う程度』なら… それなら『足りる』と、思うんだな? それなら『外でまた働く』などは、考えないと『約束』は出来るか?」 私はその意味が判った。 だから笑って言った。 「あぁ、それなら嬉しい!! 『晋作(しんさく)の為』にもなるなら、私は『約束も出来る』ぞ!! それに晋作(しんさく)なら、私は『安心』だから、尚更だ!!」 晋作(しんさく)が目を開けて私を見た。 また少し笑って、でも抱き締めてきた。 私からはもう顔は見えないが、晋作(しんさく)の声は聞こえる。 「彩香(さやか)は、そう。 『優し過ぎる』からなぁ… 俺はなぁ。 だから本当はもう、働いて欲しくはないんだが… またきっと、『無理』をするだろうからなぁ。 俺はもう、『あんな間違え』は、したくない…」 うん? 間違え? 私は少し思い出し、笑って言う。 「あぁ、なんだ、晋作(しんさく)は悪くないぞ? 私だって、『同じ』だぞ? 間違えたんだから、変わらないじゃないか!! だから、気にするな!!」 「まぁ… でもなぁ、それでもまだ、俺の方が。 間違えが『大き過ぎる』と思うんだがなぁ。 彩香(さやか)にもう、これ以上は、させたくない。 なら、もう俺がだ。 彩香(さやか)も言ったな? それなら、『安全』だとなぁ。 だったらそう、俺の側に居るんだ。 必ず守るから、大丈夫だ。」 私は笑う。 「あぁ、晋作(しんさく)だって充分『優しい』だろう? いつも『私の事を』だろう。 それにまた、『晋作(しんさく)の為』に出来る事なら、凄く嬉しいなぁ!!」 抱き締めていた腕を晋作(しんさく)は緩めた。 私をソッと、少し離すようにするが。 晋作(しんさく)は私を両腕で、腰にだけ手をまわして支えてくれる。 私は晋作(しんさく)の顔を見る。 その顔は嬉しそうに笑っていた。 だから、私も嬉しくて笑う。 「あぁ、良かった… これで『晋作(しんさく)の為』に、また手伝えるんだな? それに晋作(しんさく)なら、私は信じていられる。 ならもう、晋作(しんさく)だけになんかしない。 また『二人』で、ずっとだ。」 また急にだった。 晋作(しんさく)が動いてキスをしてくる。 「んっ、んぁっ。」 それでも何度もキスをしてくる。 舌も絡めながら、更にと。 「んっんっ、ぁっ。っん。」 唇が離れて、それで私はまたどうにか息をするのもある。 私は晋作(しんさく)を見る。 目を閉じて、首を横に振った。 私は不思議に見るが… うん? また何やら呟いてるか? 良く聞こえない小声だが… 「また、俺が危なかった… 俺、そう、忍耐力だろ? でも、また、夜まで? うん、可能。 そう、なら、今は我慢。 今日は夜まで? そう、まだ、俺、大丈夫。 でも、仕事? 外は論外。 なら、俺が可能? 彩香(さやか)に? 俺の側、うん、可能。 問題ない。 そう、彩香(さやか)を? なら、俺、可能。 うん、そう、俺が? 今はそう、大丈夫。」 私が不思議に見ていると、すぐにまた晋作(しんさく)は笑った。 「よし、彩香(さやか)にだ!! それなら俺も、確かに『安心』も出来るからな!! 仕事は、させたくないがなぁ。 でも、必ず『俺が』だぞ!! 俺の側に居ると、外でまた働くなどは、もう考えないと。 『約束する』んだな?」 私は笑う。 「あぁ、勿論だ!! 私だって、晋作(しんさく)を手伝えるのも嬉しいんだ!! 働くなら、それは『晋作(しんさく)の為』にが良い。 そう出来るのが、一番嬉しいだろう? だから、私も嬉しいんだぞ?」 晋作(しんさく)は私に少し触れてくる。 私はまた、晋作(しんさく)の顔を見る。 ************************** あぁ、笑っているのが判る。 「まぁ、それが『彩香(さやか)』だからなぁ。 そんな彩香(さやか)が『外になんて駄目』だが… 『俺の為』にと、『側に居よう』と、してくれるのが嬉しいのも… そう『俺なら』、彩香(さやか)には『一番安全』なのも。 変わらないなぁ。」 私は嬉しくて笑う。 「あぁ、晋作(しんさく)だけだろう? きっと『安全』な事を、私は信じてるから、絶対に大丈夫だろ? それなら、もう、『晋作(しんさく)ばかり』にもしないぞ!! 私が出来る事を、一番知ってるのも、『晋作(しんさく)だけ』だ!!」 私は晋作(しんさく)を見た。 若干驚く様子をしたが、でもまたすぐに嬉しそうに笑ったのも判る。 「あぁ、判った。 なら彩香(さやか)は… まぁ、俺の『専属』になって貰おうか?」 私は疑問だけ言った。 「専属?」 晋作(しんさく)はまた嬉しそうに笑う。 「そうだ。 『他の仕事』なんかしなくて良い。 俺の仕事だけを手伝う『専属』としてだな? それなら、俺が全部。 仕事内容すら『判断まで』出来るからな? 彩香(さやか)がそう、『望む』なら… 俺は、その為になら『専属』として、手伝って貰おうか?」 私は考える。 なるほど。 晋作(しんさく)がそうだな。 仕事内容も判断するし。 それに合わせて、私に出来る仕事を選ぶんだから… そうなるよな? うん、確かに『専属』か。 そうなるのが、『普通』だな? 私は笑った。 「そうだな!! 納得したぞ!! 晋作(しんさく)が、私にだけなんだ。 だからそうだな!! なら、それが普通だし、きっと『一番』だろう!!」 晋作(しんさく)がまた笑ったのを私は見た。 「もうなぁ。 これは『彩香(さやか)』だからなぁ。 だからなんだが… 俺がもう、心配するのもあるが、でもなぁ。」 うん? また心配と? 「なら俺がまぁ、近々、彩香(さやか)にかぁ? 『準備』は、それほどかからんが…」 私は笑って言った。 「そうか、『晋作(しんさく)の手伝い』だからなぁ。 晋作(しんさく)が一番の方法が『理想』だろう? 私はそれを聞いて、私も『安心』するぞ? だったら、それだけで私は嬉しいだけだぞ!!」 晋作(しんさく)を見る。 また笑ってるのも判るのも嬉しくなる。 「あぁ、俺も彩香(さやか)にだけは。 必ずだから、大丈夫だぞ。 それに俺も、その方が『安心する』しなぁ。」 私はまた笑う。 良かった。 これで少しは手伝えるか!? それにまた、晋作(しんさく)も『安心』するのか? だったら、尚更良いな!! ************************** 次の日。 また一緒の朝食を食べた後だった。 「ふむ。 彩香(さやか)が昨日、言ってた『手伝いの件』だがなぁ。 一応、俺も考えたから。 少し俺の『仕事部屋』に来れるか?」 私はすぐに判った。 昨日の仕事の手伝いか!? だから私は笑った 「あぁ、手伝いの事だな!!」 晋作(しんさく)も少し笑ってた。 「まぁ、それもあるんだが… でも、先に『準備』もあるからな。 それもあるし、今日は仕事の手伝いより、その『準備』だけになるか?」 私はすぐに『理解』した。 なるほど。 確かにそうだな。 いきなり『仕事』より、それよりも『先に』だろうな。 そうしないと、内容も判らないだろう。 それの準備や、事前の話みたいなものだな。 「判ったぞ!! そうだな、晋作(しんさく)がするのだし。 私はそれで大丈夫だ!!」 「そうか? まぁ、そんなに焦らんでも問題ないぞ。 簡単な『手続き』か? 俺が済ませるし、問題もない。 それは『仕事部屋』で終わらせよう。」 「あぁ、判った。」 そうして朝食の食器だけキッチンで簡単に片付けてから。 一緒にまた、仕事部屋にと行った。 この仕事部屋には『最初』だけしか入ってないが… 何も変わらんな? 私は晋作(しんさく)を見ると、何やら机の方に行った。 また今度はパソコンを簡単に起動させた様子でもあるが。 机の引き出しからだった。 「先にそう。 これを彩香(さやか)にも渡しとくぞ? まぁ、使う機会もないかもだがな。 『彩香(さやか)の名刺』だ。」 名刺まで? いつも間に… 私は渡された名刺を見る。 うん? こんな企業があったか? いや? 新しいところか? 「なぁ、晋作(しんさく)? ここは… 設立したばかりのとこか? 知らない名前だろ?」 「あぁ、俺が『設立した会社』の一つだな? まぁ、俺の『専属』だから。 簡単に何かあっても、その『名刺だけ』で充分。 何かあっても、それを渡せば『相手も理解する』だろう。 彩香(さやか)の場合は、俺が『直接』渡すものだけだし? 仕事も俺の側で、見てれば… 彩香(さやか)なら簡単に覚えるだろう。 何も問題すらないぞ。」 私はその『意味』に、すぐ気付いた。 「まさか、『会社の設立』までしてたのか!? しかも今、その『一つ』と言ったな!?」 私は驚いて、晋作(しんさく)の方をまた見る。 何やら数台のパソコン全て起動させた様子だった。 その上に、何でもない様子でもある。 「あぁ、そうだな? 俺が『設立』したのは『まだ三つ』しかないが。 それすらも俺が別に『社長』として動かなくても、適任を『雇えば』良い。 役職にも『適任者』をだが、同じだ。 一応、前の職場の方も『兼任』してるな?」 「なぁ、晋作(しんさく)の名刺。 見せてくれるか?」 晋作(しんさく)の方が今度はまた私に不思議そうな顔で見る。 「まぁ、別に良いが… 多いぞ?」 多いだと!? 「だったら… 『前の職場の名刺』だけで良い。 多分、それで把握できそうな気がする。」 そうすると、また机の引き出しからだった。 何やら束だが… 「ふむ。 これだな。」 私は渡された名刺を『確認』する。 何だと!? 代表取締役!? 「ちょっと待て!! これだけでも仕事が既に、とんでもないことが判るが。 これが『兼任』だと!?」 「そうだな? でもそれは所詮、役会からの『連絡』があれば済むだろ? それの『判断基準』ぐらいならすぐだ。 俺の会社とも、全て『提携』すらもしてる。 こちらがする業務はまぁ、『総会』ぐらいに顔出せば良い。 それは家でも何も問題ない。 『仕事用の家』でも、充分『会議』にも使えるからな? わざわざ、出向く必要もないか。」 私は驚くのもあるが。 確かに『代表取締役』ならば、『社長』ともまた違うし? それに『大きな会社』なら複数居るのがそうだろ。 決定権があるのは判るが、確かに社内での仕事義務もないが… その一人だと!? 「つまり、何か? それだけの、提携会社も来るから。 家を造る際にも、そうしたと?」 それは、つまり、もう『提携会社』すらもだろ!? 晋作(しんさく)が『設立した会社』ともだろ!? それも含めてか!? 私は取り敢えず晋作(しんさく)に名刺を返すが。 もう動揺どころでもないんだが!! でも晋作(しんさく)の方は何事もない顔だが… 「まぁ、そうだな。 俺が『管理』してる限り、『セキュリティは安全』だからな。 普段から家に居ても、何にも問題ない。 こっちの『仕事部屋』でも操作可能だ。」 晋作(しんさく)の様子を見ると、さっきの束みたいなファイル? それに名刺を戻しながら普通に言うが… 「でも… それだけ数があるのなら… 『案件』も、かなり多い筈なのに。 晋作(しんさく)は、そんなに『時間』が… かかってないだろ。 まさかだが…」 そこで何か思い出す様子でだった。 晋作(しんさく)が私を見てまた笑った。 「あぁ、確かに『彩香(さやか)』なら判るな? でも、こちらが『全て処理』するのもだ。 全く『時間』すら問題ないぞ?」 私は瞬時に判断した。 そうだ、私の『前の住所』を特定した時の『速さ』だ。 案件がどれだけ『多く』てもだ。 それにも、処理に全て時間がかからないだけか!! 私はそこで思い出す。 「まさか、あれか? 最初の『合同企画』の発案が。 それって、提携会社のだって…」 晋作(しんさく)も少し考える様子もしたが、すぐだった。 「あぁ、あれか。 そうだな、そこの会社とも『提携』してるな? だからだったが…」 それを言ってから、晋作(しんさく)が机の椅子で大きく溜息をした。 「俺がこれだけ『提携』もだが。 それだけ『情報』を広げてもだ。 どうしても見つけられなかったからなぁ。 どうやってるのかが、もう俺にも判らなかったが… まさか、彩香(さやか)が『あんな会社』の… しかも『リスト』にも、最初居ないなんて… 俺、もう、完全に『予想外過ぎて』、盲点だった…」 私はもうまた違う『意味』にもだが。 衝撃的だった。 それに、どれだけ… 「し、晋作(しんさく)? 今、情報を広げてと、言ったが… つまり、何か? もう、その『業界』でも、相当数なんじゃ…」 晋作(しんさく)は私を見て、首を横に振る。 「いや、『数十社』ぐらいだろ。 でもベンチャーも含めるからだがなぁ。 それだって、まぁ。 正直に言えば、ついでに『提携』したようなもんだ。」 私はその数でも既に衝撃的なのもあるが。 疑問だけ聞いた。 「ついでに?」 晋作(しんさく)が私を見た。 その顔は… 「彩香(さやか)を探す『ついで』にだ。 『提携さえ』またしておけば、更に『情報は広げられる』からなぁ。 まぁ、そのおかげもあって、確かに見つけられたのもあるが… 本来の『リスト』に居た欠員の発生だ。 『あれ』があったからだが…」 私は驚く。 それだけ、ずっと… 私は目を閉じて首を横に振った。 また考える。 晋作(しんさく)は簡単に言うが… 普通なら、それだけの会社との『提携』だって。 簡単でもない!! 更にどの『企業の案件』もだ。 多いのもあるが、それが出来るのも… 例え、それを振り分けるだけでも… 晋作(しんさく)がそれだけ。 『仕事』をしてなければ不可能だ… 私が、勘違いしたせいで。 晋作(しんさく)の方が、かなり『無理』をしたんじゃ… そんな私にまた先にと。 晋作(しんさく)が動いてキスをしてくる。 舌も絡めてくる。 「んっ、んぁっ、ふぁ!?」 唇が離れて、私は息をする。 晋作(しんさく)は私に少し笑う。 「俺が悪いって、言ってるだろう? 彩香(さやか)は何も悪くない。 それにな、俺の方は『無理』なんかしてないぞ? こうやって、また『彩香(さやか)を』だ。 俺はどうにか探せたのもあるが、今はもうずっとだ。 家に居てもだが、ずっと『一緒に居られる』までにだ。 俺がずっと『願ってた事も叶った』ようなものだ。」 私はまた何も言えなくなる。 スッと手を晋作(しんさく)の頬にと触れる。 晋作(しんさく)の顔を見る。 でも嬉しそうに笑った。 「彩香(さやか)の事だ。 俺が『無理』をしたと思ったんだろ?」 私はまた若干、驚く。 晋作(しんさく)を見る。 でも、本当に嬉しそうに笑ってるのも、判る。 「俺は無理なんてしてない。 『提携』ぐらい、簡単だったからな。 それに今、こうして『彩香(さやか)』が側に居る。 それよりもずっとだ。 ずっと俺が、彩香(さやか)の方だった。 充分、俺はもう『理解してる』からな。 だから、俺が『必ず守れる上に』だぞ? もう、彩香(さやか)をだ。 『傷付ける』ような事も、この家でずっと俺も側に居られる。 だから彩香(さやか)は、何も心配すらない。」 私はそれでも、どれだけかぐらい。 判るのに… 晋作(しんさく)が少しまた考える様子をしたが、また笑って言った。 「彩香(さやか)は俺なんかよりも。 ずっと『凄い』んだがなぁ… まぁ、それに気付かないが。 でも『それが彩香(さやか)』だからなぁ。 それがまぁ、俺は心配なんだがなぁ…」 私は首を横に振った。 「私のどこが… 仕事なんて、大した事すらしてないのに…」 晋作(しんさく)の方がまた驚く顔をしたが、少し考える様子もした。 でもまた笑って言った。 「ふむ。 そうだな… 彩香(さやか)なら、これを言えば判るか!!」 私はそれに不思議に思いながらも、晋作(しんさく)を見る。 晋作(しんさく)は笑いながらだった。 「俺は『毎月3万』じゃ暮らせんぞ!? それに… 彩香(さやか)に『おにぎり』なんて要らん!!」 私はそれを聞いて驚く。 でも、それを聞いてまた思い出した。 「あははは!! そうだったなぁ。 あの時か、そう… 確かに、あの晋作(しんさく)が。 あんな『計算問題』すら、出来てなかったなぁ。」 私は思い出したせいで笑った。 あの時の晋作(しんさく)の様子にだ。 そう、これだけ『計算』すら簡単に出来るのに… あんな簡単な『計算問題』に、凄く動揺して困ってたのをだ。 「それは、もう、思い出すと。 やっぱり、しんどぃ…」 晋作(しんさく)はまた嬉しそうに笑った。 「でも、もう、俺。 買い物、出来るし? 好きだぞ? なぁ、彩香(さやか)? もう一回、『あの店』に行かないか? 俺、もっと、あれ、欲しいんだが?」 私はまた違う事、それもまた、すぐに思い出す。 だから晋作(しんさく)に言った。 「それは『却下』だ!! 『あの店』には、もう行かん!!」 「ふむ。 彩香(さやか)が行かないと。 俺が買えないんだが…」 少し考える様子をする晋作(しんさく)がだった。 「なぁ? 『欲しい物』が買えない時は… どうしてるんだ?」 私は少し、それは考える。 「我慢?」 晋作(しんさく)はまた凄く驚いた顔をした。 でもすぐに首を横に振った。 「もう、俺、我慢。 結構してる。 それでも、駄目か?」 私も驚く。 「どこが我慢してるか判らん!! 『あの店』以外だったら、別に良い。」 晋作(しんさく)はまた首を横に振る。 私はどんなに 強請(ねだら)れても『却下』した。 ************************** そんな事もあって、私はどうやら。 『晋作(しんさく)の設立した会社』の従業員としての『登録』がされた。 それからは時々。 晋作(しんさく)からの手伝いぐらい、問題もなかった。 確かに『普通の事務仕事』では無理だろうが… 私には全く無理のない仕事ばかりだったのもある。 晋作(しんさく)はがそう、『調節してくれる』のもあるから。 私は『安心』して出来る。 それにまた、晋作(しんさく)もだった。 嬉しそうに、また笑うのだから。 私には充分、『楽しい仕事』だった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加