もう大丈夫だから『結婚』しよう。

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もう大丈夫だから『結婚』しよう。

陽さんとの出来事があってから。 また晋作(しんさく)は前と同じようになった。 でもそこは流石に晋作(しんさく)だった… あれからは、殆どが私の側に居るようになったのだが… 相変わらずだった… ************************** とある日。 一緒に朝ご飯を食べた後。 晋作(しんさく)が普通に話しかけてくる。 「なぁ、彩香(さやか)。 実はな、もう全部、説得もしたから。 大丈夫なんだがな? 大切な話をしたいんだが…」 私は晋作(しんさく)の顔を見る。 凄く嬉しそうな顔だった。 だから笑った。 「あぁ、大丈夫だぞ? どうした?」 「少しまぁ、俺の親もちゃんと説得した。 だから彩香(さやか)に決めて欲しいのもあるんだ。 これはまた、二人で決めないといけない事だしな?」 私はまた珍しいなと思いながら晋作(しんさく)を見る。 でも凄く嬉しそうな顔で笑ってるのも判る。 だから私も嬉しくて笑う。 「あぁ、なんだ?」 「俺と結婚しないか?」 「そうかぁ… って、えぇ!?」 私は晋作(しんさく)を見る。 凄く嬉しそうに笑ったままだった。 私は動揺どころでもなかったのだが… また凄い急展開だった。 完全についていけない。 「え? だって、え? 何だって、そんな、急に話が出た?」 「いや? 前に言ってたろ? 二人の『同意』があれば可能だと。 彩香(さやか)の方だったら問題はないともな。 だから俺の親にも説明したぞ!! ちゃんと問題もなくした。 式はまぁ、後日でも決められるし、いつでも良いけど? せっかくだから、籍だけ先に入れるのも有りかと思ったんだが。 駄目か?」 私はあまりの急展開でまだ動揺する。 「あ、え? 説明? だが、普通は顔合わせなり、するんじゃ? それに私の親にもまだ、何も言ってないが?」 私は晋作(しんさく)を見る。 凄く嬉しそうに笑ったままだった。 「勿論、俺がちゃんと会って来たぞ。 ちゃんと言われた。 『娘を頼みます』ってな。 俺の親も説明済みだ。 問題にもならない様にした。 だから、後は彩香(さやか)が決められる状態にまで。 『全部』済ませたぞ!! 俺の実家も、彩香(さやか)の実家も。 どちらでもなく、『今の家』に居る事も。 ちゃんと説明したから、どっちでもないからな。 この『生活のまま』で、大丈夫だ。 後はもう、彩香(さやか)次第だが…」 私はもう驚くどころでもない。 「待て待て、晋作(しんさく)? いつの間に!? どうやったんだ!?」 「元々、俺達の実家も、神奈川県だ。 車でならそれ程、時間もかからないだろ? まぁ、事前に連絡もしたから、彩香(さやか)の方は簡単だった。 俺の親が、確かに捕まえるのが面倒だったのもそうだが。 でも、もう問題すら全くないぞ!! 親戚関係の集まりがあっても、俺達が出席する必要さえないから。 今後、俺の家で『全て』済む様にも説明してある。 俺の『仕事』もあるしなぁ。 簡単に、この『家のセキュリティ』もあるし? それは余計にだがなぁ。」 私はどうにか考える。 まぁ、確かに私の親なら? はい、どうぞと。 渡しそうなのは判るが。 だが、晋作(しんさく)の実家は。 そんな簡単には… 更に『この家で全て』だと!? 確かに『厳重』にしないといけないぐらいは判るが。 それでもさせたと? 「少し、聞かせてくれ、晋作(しんさく)? うちの、親は?」 「あぁ、ちゃんと名刺も含め、仕事の説明。 親への挨拶と、手土産も持参して行った。 まぁ、高校の頃から受験勉強もあったからな。 彩香(さやか)の家には、行った事もあるだろ? だから知ってるし、簡単だった。 本来なら『結納』もあるんだが。 その説明もだが、俺の親側が『時間の都合』で、難しくてなぁ。 一応、写真と一緒に、書面すらも直で書かせた。 実際に会うとしても『この家』で、まぁ時期は判らんが? 式の話が出てからになった。 全て説明済み。 もし、彩香(さやか)に聞かれたらの時もだが。 伝言としては『彩香(さやか)が許可すれば構わない』と言ってたぞ?」 私はでも、うちの親なら… まぁ、そうなるのも判るが… だが、あの晋作(しんさく)だぞ? 一つだけ、どうしても気になるが!? 「そ、その際に、何を持ってったんだ?」 晋作(しんさく)は嬉しそうに笑った。 「俺もちゃんと調べたぞ? 一応、一般的な洋菓子と、判らなかったから小切手を渡した。 他のも買っても良かったんだが、家庭によって好みが違うとなってた。 だから好きに買える様にと渡してきた。」 私は更に動揺した。 「まさか、小切手だと!? いくら、出したんだ。 そんなのは、親すら驚くだろ?」 晋作(しんさく)が考える様子をして笑った。 「あぁ、確かに驚いてたな!! でも大した事ない、1000万だけだ。」 1000万だと!?!? 「おぃ、それ、もう、渡したのか? それ、もう、受け取ったのか? 親が? それって、もう…」 晋作(しんさく)が首を傾げて不思議そうな顔をする。 「やっぱり、もっと必要だったか? 安かったか?」 「いや、待て、それは違う。 それはもう、多分、私が売られた? 親からしたら、逆だ。 高いだけだぞ?」 「そうなのか? だから彩香(さやか)の方の親からすら。 全く問題すらなかったぞ!!」 私はもう、その金額と。 実際には、売り飛ばされた感覚しかないが… でも、どうにか言った。 「し、晋作(しんさく)の、親は?」 少し微妙な顔はしたが… でも笑って言った。 「あぁ、一応、時間が難しくてな。 でも、どうにか捕まえた。 それでまぁ、説明もして、その後に問題すらない様にと。 俺が『契約書』も書かせた。 ちなみに、彩香(さやか)の写真も持っていった。 彩香(さやか)の写真でも、問題はなかったんだが。 結局、それも含めて、契約書も済ませた。」 私は一番の疑問だけ聞いた。 「契約書?」 「まぁ、そうだな。 彩香(さやか)に関しての説明は同意した事。 そして一切、関与しない事。 それと俺の『遺伝子』は渡したから。 子孫も継続。 その子孫に関しても、一切、関与不可にした。 だから、問題ない様にしたぞ?」 私は首を傾げた。 「遺伝子?」 「ふむ。 『精子バンク』と『凍結保存』へ出した。 親には、そんなに欲しければ。 勝手に『人工授精』として、『他の女』でも好きに選んで使えとな。 条件としては、その際に使われた場合だけ。 その『子供に関して』は、一切、俺は『認知しない事』も記載済み。 更に『俺と彩香(さやか)への接点』すらも『全て禁止』にした。 まぁ、俺からすれば… 彩香(さやか)との子供以外、認める気すらないし? だったらまぁ、好きに使えば良いと。 だから、俺や彩香(さやか)が会う事すらない。 既に契約書類は一式、全て書かせたから問題なしだ。」 私は衝撃的過ぎて言葉が浮かばない。 晋作(しんさく)は思い出した様子でまた言った。 「あ、そう。 彩香(さやか)のDNAも、俺と一緒に解析にも出した。 まだ遺伝子研究の医療分野は、発展中だから今後用か。 何かあっても損もないし。」 もう私はまた驚く。 「待て、私の!? 何を出したんだ!?」 「………」 私は晋作(しんさく)を見る。 けれど、晋作(しんさく)は視線のみを逸らした。 なぜ、沈黙する!? 何を出した!? 「ちょっと待て!! 一体、何を出したんだ!! 勝手にか!? 晋作(しんさく)!! 勝手に私の何を出したんだ!?」 晋作(しんさく)は少し笑って言った。 「いろいろ?」 私は何が出されたのか。 全然判らないが!? なぜ濁す? なぜハッキリ言わない!? そっちすら気になるだろ!? でも晋作(しんさく)は凄く嬉しそうに笑う。 「だから、もう、後は彩香(さやか)次第な?」 小切手まで渡しておきながら? 更に実の親に契約書まで? そして、もう、私はそれ。 売られただろ? 私はもう困惑どころでもなかった。 ************************** でも私はどうにか頭から振り払う。 「つまり、でも。 もう、うちの親は、貰ったんだろ? 晋作(しんさく)のを…」 私は晋作(しんさく)を見る。 凄く嬉しそうにまた笑うのが判る。 「あぁ、ちゃんと大丈夫だったぞ!!」 「そうか。 そういうのは、まぁ。 晋作(しんさく)? 一応、まぁ、その、入籍? しても、良いんだがな? だが、一つだけ、言っておくぞ?」 晋作(しんさく)は不思議そうな顔で私を見る。 「世間ではな? それはもう、私がだぞ? 私は『親から売られた』だけだ、それ。 既に親は『金』をだぞ? もう『貰ってて』だぞ? 私には『拒否権』ないからな?」 私は晋作(しんさく)を見る。 でも嬉しそうな顔でだった。 「そうか!! だったら、もう入籍決定だな!!」 「そうなるな… だが、晋作(しんさく)? 私をか? 私を『買った』のか? それはどうなんだ?」 晋作(しんさく)は驚く様子で私を見た。 「何!? 彩香(さやか)は『買えた』のか!? だったら早く言え!? 俺、もっと早く出したぞ!!」 私は首を横に振って、若干怒りも湧く。 もう大きく言った。 「違うだろっ!! 良いか!! もしだ!! それが『成立』するならだ!! これはもう『人身売買』と同じだぞ!! 法律すらも危ういどころじゃないんだぞ!? 今回はな、『晋作(しんさく)』だから、私は問題がないが!! これが本当に『成立』するならだぞ!? もしだ、『晋作(しんさく)』が払えない『金額』でだ!! 途轍(とてつ)もない『金額』だとしてだ!! それで『私を迫られて』、更に『拒否』すらだ!! それが『出来ない状態』になったらだ!! 晋作(しんさく)は、どうするんだ!? 何か、私は『晋作(しんさく)』以外の男にか!? 私は晋作(しんさく)以外の男に、好き勝手にされるって事か!?」 私は晋作(しんさく)を見る。 すぐに驚く様子で、更に動揺どころでもなさそうだった。 「彩香(さやか)が…!?」 私はそのまま晋作(しんさく)を若干、睨みながら見る。 そうすると晋作(しんさく)は目を閉じた。 少ししてから目を開けて言った。 「ふむ。 良く判った。 大丈夫だ、彩香(さやか)!! そうなったら俺が『徹底的』にだぞ!! 相手を『完全』に潰してでも、『彩香(さやか)』は守るし、一切、俺は譲らないだけだ!! うん、俺だったら、絶対、それは許せんな。 『社会的』にでも、『存在そのもの』を、『抹消』させても良い。 俺が絶対に、触れさせん!!」 私はもう、そこで完全に諦めた。 テーブルに伏した。 「判った… もう、私の人権、なくなったな。 うん、もう、ないな。 なら、もう、晋作(しんさく)の希望通りだ。 私、そうな、うん。 もう、晋作(しんさく)の奴隷で良いや。 うん、私は人間じゃないな。」 「彩香(さやか)!? いや、俺は彩香(さやか)を奴隷になんてしないぞ!!」 「あぁ、そうか? でも私はもう、そう。 『売られた』からな? 晋作(しんさく)に『買われた』ようなものだな? それで良いや。 まぁ、飽きたら、捨ててくれ。」 「さ、彩香(さやか)? そんな事しないぞ、俺!?」 「そうか? 晋作(しんさく)の頭には辞書があるだろ? そこで良い。 『人身売買』の意味は?」 「人身売買の意味?」 私は若干、視線だけ晋作(しんさく)を見る。 少し考える様子で言った。 「人身売買… 確か、人や、その人の行動範囲を強く拘束する契約。 当人の了承を得ずに、他人間で勝手に売買。 それが人道的に悪質であるもの… だったか?」 「あぁ、正解だろうな… それで? 晋作(しんさく)は、私を? 『他人間で勝手に売買』した訳だな? それはつまり… 『人道的に悪質』な行為をした訳だな?」 私は晋作(しんさく)を見る。 若干、また考える様子をしたが、でもすぐに嬉しそうに笑った。 「いや? 俺は『契約』してないし? 彩香(さやか)の『了承』を得てするし? 行動範囲の『拘束』すら、一切ないぞ?」 私はまたテーブルに伏した。 「そうか… だったら小切手の『1000万円』は、どう思う?」 「それはだって『手土産の代金』だろ!! だから『彩香(さやか)の代金』じゃないぞ!!」 私はまた気持ちが沈んだ。 そうだった。 『晋作(しんさく)基準』だった。 「あぁ、うん、そうか、そうだな。 うん、判った。 入籍決定だな、うん。 それで、私は良い…」 もう私の中では大ダメージだ… ************************** 「そうか!? 俺は嬉しいだけだぞ!! もう、これで決定だな!! 良かった。 俺、ちゃんと準備もしてるぞ。 ちょっと待ってろ。」 私はまたそれに疑問が出る。 待ってろ? 何を? 今、私が言った事は伝わったのか? 本当に? どうにか顔を上げるが。 晋作(しんさく)は2階か? どうやら自室だろうか? それとも仕事部屋か? 2階へと急いで行ったのを見るが… うん? なんだ? もう、既にダメージが大きいんだが? そうして戻ってきた晋作(しんさく)を私はまた見た。 凄く嬉しそうな顔で笑ってるのも判るが? 「準備もしてたからな!! 彩香(さやか)が決めてくれた時の為にと。 後はこれだけだな!!」 これだけ? 晋作(しんさく)はまた私の前だった。 普通に出してきたのを見る。 私は見た瞬間にまだ驚く。 まさかこれは『婚姻届』!? しかも既に晋作(しんさく)の部分等記載済み!? 証人二人の署名押印まであるぞ!! 「し、晋作(しんさく)? もう、書いてあるのか? いつから、そんな準備を…」 「ふむ。 もうそれは約2ヶ月前ぐらいだな。 後、彩香(さやか)の実家に行った際にだな。 戸籍謄本もだ。 俺のもある。 彩香(さやか)も運転免許証は持ってるから。 後はもう、そこに氏名と印鑑を押して、役所に出せば完了だな!!」 私はまた動揺する。 「まさか、今日? これから? 出しに行く気か?」 晋作(しんさく)の方は嬉しそうにまた笑う。 「そうだな!! 今日、出したとしてもだが。 まぁ、受理されるのも少しかかるからな。 それが済まないと、他の手続き関係の変更不可だぞ? なら早い方が、もう楽だろ? 俺の場合、簡単だが… 彩香(さやか)の場合は、苗字も変わるしな? 銀行関係も含めて、全部一緒にすれば… 住所変更やら他の手続きも全部終わるな?」 私はそれにまた動揺する。 え? 今日? いきなり? それでもう、提出? 「な、なぁ? 晋作(しんさく)? 少し聞きたいんだが? 普通、こういうのは… 『記念日』みたいに出すのが… 一般的なんじゃ?」 晋作(しんさく)は若干、不思議そうな顔はした。 また考える様子をする。 でもすぐに凄く嬉しそうに笑った。 「あぁ、そうか。 彩香(さやか)はそう、知らないのか? そういえば、俺も言ってなかったな!!」 うん? 今日、何かあったか? 私は考える。 「彩香(さやか)は知らないぞ?」 うん? 「だったら… 晋作(しんさく)にしたら… 今日出す『理由』があると?」 「あぁ、まぁ、あまり確かに? 彩香(さやか)からしたら、拘ってない日にはなるか? でも今日はなぁ。 俺が彩香(さやか)に『気付いた日』なんだ!!」 私は驚く。 「それはつまり、高校のか? でも…」 私は高校時代を思い出そうとするが… 晋作(しんさく)は笑って言った。 「彩香(さやか)は知らないぞ、多分?」 私は疑問だけ言った。 「私は知らない?」 「そうだな!! 俺が、彩香(さやか)に『気付いた日』だ!! だから、彩香(さやか)はそれを知らないんだがなぁ… それから俺は見てたんだが… でもまぁ… 彩香(さやか)から、声がかからなかったがなぁ。 正直、俺はあの期間は悩んだなぁ、うん。 だから忘れられんな。 声を俺からかけるまでも、期間があったから。 尚更だな?」 私は首を傾げる。 「つまり、それが今日だと?」 晋作(しんさく)の顔を見ると… 確かに嬉しそうな顔だった。 「そうだぞ!! 5月23日だ。 ちなみに、彩香(さやか)に声をかけたのが、7月10日だな。 あの期間、俺は考えてたんだがなぁ。 夏休み前にと。 声をかけたのもあるな、うん。 かなり考えた、俺。」 「でも、それって。 入学してから、まだ少しじゃないか!?」 晋作(しんさく)は少し考える様子はしたが、すぐに笑った。 「あぁ、そうだな!! 俺が最初に『彩香(さやか)の存在』に気付いたのが。 その日だからな!! それから見てたが… もう本当に… 危なっかしい!!」 私はまた驚く。 「晋作(しんさく)の『理由』は判ったが… そんなにか? 私も、見てたと思うが… 晋作(しんさく)の周りには… でも、いっぱい居たしな?」 晋作(しんさく)の方は首を横に振る。 「もうなぁ… 今なら良い… 俺は充分、理解した… そう、『彩香(さやか)はそのまま』で良いとな。 俺は知ってるから、気にする事もないが。 だから、今はもう、あまり気にしてないが… 俺はもう、あの頃からか? 彩香(さやか)は気付かないから。 俺はかなり頑張ったなぁ…」 私は疑問だけ言った。 「何を頑張ったと?」 晋作(しんさく)は驚く顔をした。 また首を横に振って、私に大きく言った。 「つい最近でもだろっ!! 井の頭公園を忘れたのか!! あれはまだ、かなりマシな部類だぞ!!」 私はすぐに思い出した。 「あぁ、陽さんか? そういえば、あの後。 ちゃんと復縁したんだろうか? でも、あの人は… 凄く良い人だったぞ?」 晋作(しんさく)はまた驚く顔をした。 また首を横に振った。 「だから… あれは、まだマシな部類なんだ!! もう、彩香(さやか)が一人? 何か絶対だ、必ずだった。 もう俺、『絶対規制』したから。 あのレベルだったが… それでもまだ出る状態!? おまけに、アイツだって、彩香(さやか)の事をだ。 あんだけ言ってきたのを忘れたか!? 彩香(さやか)が『綺麗』だって。 アイツすらも言っただろ!?」 私はまた少し思い出す。 「そういえば… 陽さんでの『言葉』でだがな? 私が気になる事はあったんだが… 晋作(しんさく)には、判るのか?」 私は晋作(しんさく)の顔を見る。 少し今度は不思議そうな顔で首を傾げた。 「なんだ? なんて言った?」 「あぁ、うん。 私には意味が判らんのだがな? 陽さんがな? 変な行動をする時に言ったのが… 少し気になってなぁ。 なぁ、晋作(しんさく)? 何が『反則』なんだ? 時々言ってたが、反則って、違反だよな? 私の何が、いけなかったんだ?」 晋作(しんさく)はまた驚いた顔になった。 でもすぐに目を閉じたまま言った。 「あぁ… そう言えば、最後も。 言ってたか? 確かに、まぁ… そうなるのか? だがまぁ。 アイツはマシな部類だから。 あの程度で自制してたか?」 うん? 自制? 反則は? 晋作(しんさく)はでも首を横に振って目を開けた。 「まぁ、もう、それはな。 忘れて良し!! 彩香(さやか)は知らなくて、良いな、うん。 だから、それを書いて、今日で入籍だ!!」 私は疑問が残りながらも『婚姻届』を書いた。 「ふむ。 これで完成、後は提出のみっと。 よし!! 彩香(さやか)も運転免許証と印鑑は忘れるな!! 行くぞ!!」 私はやっぱり疑問だった。 「なぁ? 反則の意味は?」 晋作(しんさく)は笑って言った。 「それはまぁ… 忘れて良し!!」 ************************** そんな状態のまま、私は晋作(しんさく)と区役所にと。 『婚姻届』を出した。 それが受理され、私の苗字が変わった。 『 立木彩香(たちきさやか)』から… 『 一条彩香(いちじょうさやか)』になった。 でも、衝撃が強過ぎて、実感すら湧かない…
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