展開が早過ぎる『先手』をだ。

1/1
68人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ

展開が早過ぎる『先手』をだ。

二人でバスルームへと行ったが… そのバスルームも、かなり広かった。 取り敢えず、身体も洗ってスッキリした。 確かに部屋着もあった。 それを着てから、部屋の方へと移動するのだが… 私は晋作(しんさく)の方も見た。 嬉しそうな顔は… 変わってなかった。 そんな様子を見て私も冷静にと、また考える。 まさかなぁ。 シャワー攻撃を本当にするとは… 久々にあの恥ずかしい感覚もあるけど、ついした事を思い出す。 明らかな『視線』に思う。 どうして晋作(しんさく)は、そこまでするだろうか? 結局、まぁ、シャワー攻撃もしたけど? 私にはやっぱり『理由』が疑問なんだがなぁ? それでも… どうしてそんな嬉しそうな顔をする? そう考えながらも、部屋に戻ったけど。 この部屋は京王プラザホテルでデラックスの… まぁ、すぐ見て判るダブルベッドだろう事。 それに私はもう、それも含めて思わずにはいられない… とにかく… この部屋が『広過ぎて』落ち着かない!? 私が普段使ってるワンルームは6畳程度だ。 だから、余計に『広さ』を感じる。 でも晋作(しんさく)は、特に気にしてない様子だが… そもそも、ここにどうして簡単に通されたんだかも… もう、私には疑問が多過ぎるんだけれど? 確かに晋作(しんさく)はもう今の歳でだ。 それなりの『会社内』でも、かなりだとも判るし? そもそも、晋作(しんさく)は頭が良いだけでもないからなぁ。 でも… 晋作(しんさく)の方は、全く気にしてない顔だなぁ? 「もう、結局7時半か。 彩香(さやか)、ルームサービスでも頼んで朝食にしよう。」 既にソファに座りながらもメニューを手に取って、笑いながらも言ってくる。 そんな疑問の残る私だけど… 顔でだが… 晋作(しんさく)は全く、そこにも気にしてないのも判るんだよなぁ? 「そうだね。 朝食なら…」 「彩香(さやか)の好きな『玉子料理』も、色々あるからなぁ。 好きなのを頼めば良いぞ?」 嬉しそうに笑う晋作(しんさく)だが、私は思う。 覚えてたのか… 私は少しだけ、また久しぶりにだった。 いつもは『仕事』なのだけれど、『今』は違うからでもある。 自然に笑ってしまう。 「うん。 メニューを見てからね。 それにしても… まだその事を?」 「当たり前だろ。 俺は彩香(さやか)の事は、忘れた事もないんだぞ?」 晋作(しんさく)がまた笑って言ってる。 この顔はそう、確かに本当に嬉しそうな顔だった。 だから、私も久しぶりに笑った。 『今』ぐらいは、そうだなぁ。 『今』ぐらいは、良いよなぁ? 私は素直に晋作(しんさく)から、持ってるメニューを受け取った。 それを見て私は驚くのもあるが、それですぐ晋作(しんさく)に言った。 「高いっ!! だから、前にも言ったよね!? せめて『割り勘』にって!!」 それをまた少し驚く様子だった。 でもソファに座ったまま晋作(しんさく)の方はまた笑った。 「いや、すまない… 前と、そこも、『同じ』なのか? いつも、言ってるだろ… 俺は女に、いや、もう『彩香(さやか)限定』か? 金なんて出させる程、甲斐性無しでもない。 それにもう、学生でもないんだぞ? 俺達の歳を考えれば判るだろ… 問題すらないから、気にするな。」 もう晋作(しんさく)の方は笑いをどうにかという様子でもある。 けど、私からすれば… とんでもない!! でも結局、服がないと… 部屋から出れないのも変わらない。 私はそれでもメニューから、飲み物とメインだけを選ぶ。 晋作(しんさく)が簡単に頼んで、それを食べながらも嬉しそうな顔も変えてないのも判る。 でも少ししてからだった。 「相変わらず、少食みたいだが… また… 減ってないか? 俺は少し心配になるぞ。 もっと頼めば良いだろう?」 「少食ではないと思うんだけど? これぐらいが、丁度良いからなぁ…」 晋作(しんさく)の方を見る。 確かにそのまま心配そうな顔をしていた。 私は普通に、ただ思いながらも首を横に振った。 それよりもさっきの朝食すらも、多い私でもある。 普段もだが? それ程、気にした事もないなぁ… それに対して… 晋作(しんさく)の方だ。 何やら考えてる様子の方が私は気になる… でも全く違った驚きがきた。 ************************** 「まぁ… 徐々にが良いか。 それに服もそろそろ、届くだろう。」 「うん? クリーニングはそんなに早いの? いつ、出したか知らないけど…」 「いや、『あれ』じゃないぞ。 もうそろそろ、俺が頼んでおいた服も届く時間だ。 9時前には届けさせる予定だったからな。」 私はまた、疑問だけを言った。 「届けさせる?」 晋作(しんさく)の顔を見る。 本当に嬉しそうな顔も判るが… 「あぁ、夜にもう、連絡したからなぁ。 だから彩香(さやか)の『服類一式』だ。」 私はもう『意味』には判ったが… 何も言えずに考える。 まさか!? 店側からここに!? 届けさせる気か!? いや、でも、それは… 何やら察した様子の晋作(しんさく)は、若干、また笑っていた。 「だから。 別に『外出』にも問題ないぞ? それに今日は祝日で、彩香(さやか)の会社は休みだが。 店側は何も問題ないからな。 まぁ、その服類もそれで充分だろう。 今日はまぁ… やらないといけない事もあるしな?」 私はまた疑問だけ言った。 「やらないと?」 仕事か何かあるのか? でも… そんな様子すら見せないが? その時だった。 部屋の電話が鳴って私は驚いた。 でも晋作(しんさく)はそれを… 普通に取り、それにも簡単に言うだけだった。 「あぁ、そうだ。 部屋は受付にでも聞いてくれ。」 うん? なんだ? 晋作(しんさく)の顔を見る。 嬉しそうな顔は判るが… 何が? 「彩香(さやか)のが『届いた』みたいだ。 すぐに部屋にも来るだろう。」 届いた!? 「え?」 そうして、確かに部屋に『届いた荷物』にだ。 私はもう… 愕然とする。 私がまた、すぐに気付いた事もある。 この服、靴も、しかもアクセサリーもだが… 全部、ブランド物だろう!? まさかだが、取り寄せたんじゃ!? 私はもう、すぐに晋作(しんさく)を見た。 けど若干、そのままで少し首を傾げるだけだった。 「サイズは問題ない筈だから… 大丈夫だろう? 一応、『今の』好みまでは判らないからなぁ。 一通り揃えてみたが? その中でも好きに使えば特に問題ないだろう。 他に気になるのがあれば、言ってくれればそれを届けさせるが?」 私はもう、僅かにしか言えなかった。 「いや、これだけで充分過ぎる…」 私はまた、この届けさせた? ブランド物の大量な服類を見る… 何をした!? 「それなら問題もないな!! また移動も出来るし、大丈夫だ。 昨日はホテルに、タクシーで来たからなぁ。 車は職場の方に置きっ放しだが… それは後日に、取りに行けば良いし。 その前に『不動産』だろうな? 彩香(さやか)の部屋なら、『俺の家』にもあるから問題もないぞ? もう、そのまま住めるだろうし。 最低限、簡単に俺の方から『解約手続き』ぐらいは出来る。 後はもう業者に『連絡』して任せれば、荷物も運ばせられるだろ? 『家』に行けば、俺が『全て手配』するぞ。」 私はまた、すぐに晋作(しんさく)を見た。 何!? 今、『家』と言ったが… 晋作(しんさく)の『家』にか!? だが、そんな事を… また私を察した様子だった。 晋作(しんさく)は少し笑って言った。 「言っただろう? 『俺を選んでくれ』とな。 昨日、俺は聞いたぞ? それにもう、俺もずっと『彩香(さやか)を選んで』決めてるから。 『準備』もしてたのもあるが… もう俺から『離れるな』とも言ったぞ? 俺は彩香(さやか)をだ。 もう俺がだ、離したくない。 だからその為に… もう彩香(さやか)よりも『先手』だな?」 私はもう、かなり動揺した。 それはつまり。 『今』だけじゃないと!? けど、それは… いや、どうなんだ!? 何の準備を? それにあの晋作(しんさく)が『先手』だと言った!? 私はまた困惑した。 ************************** 私が知ってる事でもあるけど… 晋作(しんさく)は就職先もITコンサル業界での就活すらもだ。 アッサリと『内定』も、簡単に得ていたのは知ってるが… 一体… 今はどうなってるんだ!? 私はどうにか、届いた何点かの服を選んで着ると… 晋作(しんさく)は抱き締めながらも嬉しそうな顔だった。 私は若干、まだ困惑する。 いや、服はまぁ… こんな中でだと… どれでも私には… 「あぁ、彩香(さやか)には凄く似合うぞ? ならもう、そのまま移動しよう。 他の荷物はまた別に届けさせたら良い。」 そのまま移動!? 私はどうにか、また晋作(しんさく)を見る。 嬉しそうな顔で笑ってるのは判る。 だが… 何が起きてる!? 晋作(しんさく)の方は笑いながらだった。 「じゃあ、ホテルはもう良いだろ? 今から行こうか。」 「今から? けど、まだ私は…」 そんな私にだった。 また先にと、晋作(しんさく)が動いてキスをしてくる。 舌もだった。 「んっ、んんっ!?」 唇が離れて、晋作(しんさく)は私に笑う。 「もう、否定なんて要らない… 俺が『全て』させないぞ?」 私は何も言えなくなる。 でも… 晋作(しんさく)の方は、私の手を握り、引き寄せる。 私はまた困惑する中でも、笑いながらだった。 そのまま部屋から出る。 部屋から出て、そのまま、私を連れてだった。 京王プラザホテルの受付にもだ。 晋作(しんさく)は簡単に言って、鍵だけを渡すのも見た。 うん? 会計は、どうした? 何もしてない? ホテルから出れば、すぐにタクシーが見える。 今度もまた、晋作(しんさく)がタクシーの方へ行く。 私はもう、既に困惑中のままだった。 余りにもそれは、早過ぎる展開でもある。 何が起こってるんだ!? 私はまだ、良く判らないんだが!? タクシーに乗った晋作(しんさく)は簡単に言う。 「永福町の方に向かってくれ。」 「駅の方で?」 「そうだ。 そこからはまた俺が言うから、まずは駅の方で良い。」 永福町? それは新宿よりもまたちょっと違うが… 京王線だったか? でもあの辺りにマンションでもあったか? 住宅街なイメージだが… そう考えてる間にも、晋作(しんさく)が運転手に言って着いた。 私はもう、それを見てだった。 動揺どころじゃなかった。 えっ!? マンションでもなく… 完全に、これは本当に『家』なのか!? いや、でも、これは… 私は『表札』を見る。 そこには『一条(いちじょう)』と書かれてある。 これは、つまり… 本当に晋作(しんさく)の!? 「着いたぞ、彩香(さやか)。 先に家の中を案内するぞ。 これからは、ここに住めば良い。」 私は早過ぎるこの状況でに… どうにかもう、首を横に振る程度でしか出来ない。 それにこの『家』だが… なんだ、このあり得ない『家』は!? 小さなアパートレベルに大きいんだが!? それに門すらあるが、どう考えてもだ!! 一人暮らしの『家』じゃないだろう!? この『家』に住めと!? いや、でも… 中に入ったら、もうこれは… 私は徐々に後ろへと下がる。 でもすぐに晋作(しんさく)が腰に手をまわして、言ってくる。 「なんだかもう… 完全に混乱までしてるが。 別に『家』に閉じ込めたりもしないぞ? この家はまぁ、『金』も余ったのもあるが… 『仕事』にも使えるようにだ。 そうしたのもあるだけだからな? 『彩香(さやか)の部屋』もあるし、大丈夫だぞ。」 私は晋作(しんさく)を見た。 確かに嘘は付いてない顔だが… つまり、『仕事用』もあるから大きいと? だが、さっき『解約手続き』とも言ったが… 『不動産』でもないのに、いきなり『家』か!? 『金』が余った!? 「つまり… なんだ? 今はもう… 家でも、『仕事が出来る』ようにと。 しただけだと?」 「まぁ、それもあるか? 『仕事』もだが… 彩香(さやか)、言っておくがなぁ… この歳でだぞ? 『独身』で、更に『女すら居ない』ならだ。 それで仕事ばかりしてると… 『金』しか、もう余らないだけだぞ?」 私はまた晋作(しんさく)を見た。 確かに嘘は付いてないない様子だが… これだけ!? 「まぁ、確かに晋作(しんさく)なら… 収入すらも大きいのは判るが… ここにか!? 仕事でも使う為だろ? それなのに、私が?」 もう、こんな状況、考えられんが!? 私は若干焦る。 でもこれは… 「いや… そうだな… 私には、想像すら? 出来ないか?」 晋作(しんさく)が? 仕事も家でしてるからか? だが、何をする気だ!? 晋作(しんさく)の顔を見る。 また本当に嬉しそうな顔も判るが… 「まぁ、俺がすれば簡単だぞ? それには、そんな時間もかける気もないからな。 『この家』なら、彩香(さやか)も気にいると思うし。」 気にいるも何も… いや、何を!? そうして、まただった。 晋作(しんさく)の方は、私の手を握り、引き寄せた。 家の門が自動でだ。 何かを翳す様子をして開けて中へと入るが… 私は動揺する。 既に車が1台あるが、これは… いや、それよりも… なんだ、この『広さ』は!? 赤やオレンジのカラフルな洋瓦の屋根… 白や淡い明るい色のこれは南欧風っぽいか!? それでも、私を連れて晋作(しんさく)は家のドアを開けて中に入るのだが。 もう、それすらだった。 驚くだけであり、中に入ってすら私は何も言えなかった。 ************************** 晋作(しんさく)の家に入ると、もう… もうこれは玄関というより、まさにホールだなと… 既に言葉が浮かばない私でもある。 3メートル以上はあるだろう吹抜け天井。 更に広く階段もだが… 二階へと左右にもだった。 それぞれがまたドアで仕切られていた。 「あぁ、彩香(さやか)? 先に言っとくがなぁ… 左側の方が、『仕事』とかの来客用もあるか? 左右一応、似たような造りだが。 俺と彩香(さやか)は、右側を主に使う感じだろう。 まぁ、簡単に言えば… 『私用』に使うのと、『仕事用』でだ。 二つの家を繋げたようなもんだから、大きくなっただけだ。 『全てセキュリティ付き』だから、右側の私用側には… もう俺と彩香(さやか)だけになるか。 カードキーがなければ、ドアさえ開けられんから。 問題ないぞ。」 私はどうにも、もう、目眩すらしそうになる。 家を… 二つ分、繋げただと!? それで『仕事用』と分けたと!? でも、それでも、もうこれは… 私はもう、また晋作(しんさく)の方を見た。 でも… それでもこれは… もう違うだろう!? どれだけだ!? 察した様子で晋作(しんさく)は少し笑って言った。 「まぁ… 『仕事用の方』に入る必要もないぐらいは、『準備』してある。 簡単に部屋の方は案内するが、『彩香(さやか)の為の部屋』も右側に、もうあるんだぞ? まぁ、一応、俺だけの部屋もあるが… これからが俺は楽しみだな!!」 「私の、部屋も… それを?」 「あぁ、そうだ。 造る時に考えてたからなぁ。 ずっと見つけられなかったが… ようやくだ。 やっと、彩香(さやか)をだ。 俺はもう『決めた』時からだがなぁ。」 私はそれにまた何も言えなくなる。 それだけずっと… 晋作(しんさく)は少し笑う。 そうして私に家の中をと案内をしてくれた。 けどもう、それは衝撃的過ぎた。 私がそう、案内された部屋だけでもだ。 この『私用』だと言った『家の方だけ』だが… 真っ先に目にする。 木目調の温かみのある、とにかく広い採光良好なリビングだった。 白い壁や天井もだが、北欧デザインの家具で全て統一されたような家具も。 そこには対面式オープンキッチンに食器洗浄乾燥機まであった。 広い窓の全てがまた、電動シャッター。 それだけでも、かなり広さのあるLDK… 気付いたがモニター付きインターホンもだ。 そのまま浴室の方も… バスルームには浴室TVをだ。 私は初めて見た程だったが、とにかく広い。 シャワードレッサー付きの洗面台の側には、大型洗濯機もあった。 でも晋作(しんさく)は何事もない様子でだ。 「このリビングで約20畳ぐらいか。 浴室も全部含めて、これなら何も問題ないし… 後、『カードキー式のドア』だから、これは彩香(さやか)用にだ。 『ホームセキュリティ』もあるから、防犯も含めて『安全』だぞ?」 私はそのカードキーらしいのを渡される。 もうでも、既に驚き過ぎてクラクラする… 「あとは2階だな。 そこに『彩香(さやか)の部屋』もあるぞ。」 晋作(しんさく)の方は、私の手を握り、引き寄せてからまた移動をする。 勿論1階にもトイレなどもそう。 そして2階もだった。 2階にも簡単な洗面付きのトイレまで全てあった。 「各自の部屋もあるが… 先に『主寝室』か、この部屋は共有でだな。 この部屋だけは10畳ぐらいにはしたが。 階段を登ってから左右にドアがあったろう? そのそれぞれが、各自の部屋としてだ。 6畳ぐらいあるし? 後は俺がすぐに動けるようにと。 小さめな『仕事部屋』だけだ。」 そうして私もその『主寝室』も確かに見た。 主寝室はどちらかと言えば、モダンな雰囲気か? 家具もまた統一されていた。 更にルーフバルコニーまである。 「後は、この隣になるが。 そこが『彩香(さやか)の部屋』だな。」 私はその主寝室のところでだ。 どうにか、それでも言った。 「し、晋作(しんさく)? 聞いても、良いか?」 「あぁ、どうした?」 「この、『家』だけだが… 既に、全部で、つまり?」 「こっちの『家の場合』か? 一応、5LDKに… 2階の部屋は全てWICはあるな。 設備とかでも、オートバス、床暖房、浴室乾燥機もだが。 ルーフバルコニーも南向きだ。 それに『全てのセキュリティ』もされてるから… 安全だろ?」 私はそれでどうにか、理解はした。 つまり… 5LDK… 更にWICと? オートバス、床暖房、浴室乾燥機… つまり、各居室には… 充分な程のウォーク・イン・クローゼットがあると? もう、こんな『家』か? 私が『この家』にか? 私が住んでいた部屋の何十倍だ、これは。 しかも、まだ、『右側の家』だけでか? 「でも、まだな。 今日の俺の『作業』も少し残ってるが?」 何!? これ以上、何が!? 私はそれでまた晋作(しんさく)の顔を見る。 晋作(しんさく)の方が察した様子で少し笑った。 「今日のまぁ、『重要な事』か? 俺だったら、簡単に終わらせられる。 言っただろう? それは彩香(さやか)よりも『先手』だとな。」 私は動揺する。 また、晋作(しんさく)が『先手』と!? 次は何を!? 晋作(しんさく)はそのまま、少し2階の部屋の一つへと。 私を連れて入った。 ************************** 私もその部屋に入って、少しまた驚く。 そう、多分、『仕事に使う部屋』なのだろうが… 既にパソコンが数台、確かにそれ程の大きさはない部屋だった。 「晋作(しんさく)? 何を…」 「まぁ、俺はもう、彩香(さやか)の職場。 つまり『会社』を知ってるからな。 だったら『不動産』だろ?」 私はそれでも良く判らない。 確かに『職場』が判ったとしても、まだそれは昨日だ。 それから今日は休みなのに… 晋作(しんさく)は、側にあった椅子の方にと。 私の手を離し、座らせるが… それでも判らなかった。 疑問に思っていると、晋作(しんさく)の方はパソコンを起動させる。 私はそれを見ていた。 仕事か? それが今なのか? 私は不思議に思いながらも、それを見ていると… 晋作(しんさく)が少し笑った。 うん!? 今、笑ったよね!? 何をする気だ!? 「まぁ、少しだ。 すぐ『終わらせる』から、彩香(さやか)はそのままな?」 私はまた疑問でしかない。 それで確かに、そう、見ていた。 晋作(しんさく)はパソコンの方へと向かうと、一気にキーボードを叩いた。 私は若干、気付く。 まさか!? 晋作(しんさく)の方はそのまま数分程度だった。 「なるほど。 判った。 だったらもう『問題もない』な。」 そうすると今度もまただった。 簡単にまたキーボードの叩く音が響く。 私はそう、あの黒い画面… あれは完全にもう… でも、そんな!? たった『僅か』だったが!? それも数分程度だった。 私は晋作(しんさく)を見ていた、そして目が合う。 「もうこれで『今日の作業』は終わったぞ? 『不動産』の方にも、連絡は出したから。 再度、こちらから電話をすれば『全て完了』だ。 彩香(さやか)の『住所』を確認しただけだからな。 それの『手配』を済ませただけだが… 少しすれば、勝手に『解約手続き』が済むだけだろう。 後で、業者に連絡して荷物を運ばせれば簡単だ。 それまでは、さっきの『主寝室』で待ってれば… もう問題すらないだろう?」 私はそれで『確信』した。 「まさか、今の僅かで… 会社の『情報』を!? それはでも!?」 晋作(しんさく)は少し笑って言った。 「大丈夫だ。 少し『確認』しただけだからな。 他は一切、触れなかった。 更にこちらからの『痕跡』すらも残ってない。 それに『あんな会社』だぞ? 俺からすれば、あんな『セキュリティ』ぐらい。 何もないようなものだ。 まぁ… 彩香(さやか)が『普通の事務』なんてなぁ。 簡単過ぎる仕事を選んだ『理由』も判るが… 彩香(さやか)を探す時に、それなりに違う手段では調べたが。 確かにこれは、俺も『予想外』だったか…」 私は完全に判った。 つまり、さっきの僅かでだ!! 会社の『名簿』のハックを!! それで『住所』を!! 「晋作(しんさく)!! それはしたら『駄目』なんだぞ!? 知ってるだろう!? それは…」 「判ってる。 でも…」 私はまた晋作(しんさく)の、あの目を見た。 そう、『強い目』だ。 「今でもまだ、彩香(さやか)は『俺の為』にと。 『迷ってる』だろう? そして一度。 俺に気付かれた『方法』すらも、今度はきっとだ。 違う手段で『避ける為』にと、動きを出す事ぐらい。 俺にも『予測』が出来る。 だったら、迷いがある間は。 俺はもう、彩香(さやか)が居なくなるなんて… 消えられるのは、もうさせない。」 私はそれで、充分『意味』が判った。 でも、それは… 私は目を閉じて考える。 晋作(しんさく)が『今した事』は… 確かにあの会社だったら、『確認』だけでも一切。 気付かれないだろう。 けど、それは… 私だけ『特定』はしていても… それをまた、『私が』させたのか? 晋作(しんさく)が、『私の為』にと『選択』した事で… でも、それは私には『晋作(しんさく)の為』に出来る事なんて… 何もないのに!? 私にはどうすれば… それに『他すら』もだ。 『全部』が、『晋作(しんさく)の為』にも。 ならないだろう!? どうして、そんな『答え』を出すんだ… あれだけを見ればもう判る。 それだけもう『社内』でも、『上』なんだろう!? だったら、『他の女の人』を選ぶぐらい… 晋作(しんさく)なら、簡単だろう!! どうして、そんな『答え』を晋作(しんさく)が出すんだ!? 私がどれだけ『晋作(しんさく)を願って』も、それでは… そんな私にだった。 また先にと、晋作(しんさく)が動いていた。 私の顎に指をかけて、顔を上げさせるとキスをしてきた。 「っんっ!?」 すぐに唇が離れて、晋作(しんさく)は私に少し触れて言う。 「もう、どんなにだったか… きっと、彩香(さやか)なら、そうだと『判ってる』のもある。 俺が『否定なんて要らない』と、言ってもだ。 彩香(さやか)はまだ、迷うだろう? それも判る。 けどもう、俺はずっとだ。 約10年か? どれだけ俺が… 彩香(さやか)にはきっと、判らないかも知れないがなぁ? 俺はその間、どれだけ『痛感』したか… もう俺はあんな思いは、したくないんだ。」 私は晋作(しんさく)の顔を見る。 また困惑する。 どうして… そんな悲しい顔をするんだ。 それではまた、私は何も… 「どうしてだ… もう、さっきのでだ。 今なら尚更、『他の人』なども、いくらでも… どうして、『私を』なんだ。 『今の』だって、私のせいだろう!?」 「違う。 俺がしただけで、彩香(さやか)のせいなんか全くない。 そう、彩香(さやか)は、『気付いてない』んだ…」 私はまた晋作(しんさく)の顔を見る。 それは… 今まで知らない顔だった。 私が、気付いてない? でも、どうしてそんな顔を… 私は晋作(しんさく)に頬に触れて聞いた。 「どうして、そんな顔をする? そんな顔は… 私でも… それに、何に『気付いてない』と? それを私が気付けば… 晋作(しんさく)は、そんな顔をしないのか?」 晋作(しんさく)は少しだけ笑った。 「そうだなぁ。 『気付いてない』けど、それが『彩香(さやか)』だからなぁ。 俺がそうだったのもあるが… そうだな、随分昔に思うがなぁ。 俺は『気付いた』から、彩香(さやか)に声をかけたんだぞ?」 私はまた思い出す。 最初に声をかけてきたのは、確かに晋作(しんさく)だ。 けど、そこからもう? 気付いてない? 察する様子で晋作(しんさく)が言う。 「あぁ、そうだ。 なぁ、彩香(さやか)は、どうして『俺には』声をかけて来なかった? 俺が声をかける、キッカケだったが… 彩香(さやか)は、俺に声すらかけて来なかっただろ?」 「それは…」 私は思い出そうとする。 確かに私からは声をかけようとはしなかったな? でも… それは『皆』がだ。 皆が晋作(しんさく)と居て、笑うのを見てた。 晋作(しんさく)だって、笑って居ただろう… 「彩香(さやか)はなぁ。 いつもそうだった。 俺の『周り』ばかり、そして『俺も』と。 動こうとするんだ。 あの約10年前もだった… 『理由』が簡単に判ったのも、そうだ。 『俺の為』にと動く。 今だって迷うのは… それだろう?」 私はまた困惑するが、どうにか考える。 「でも、それが… 一番、『晋作(しんさく)の為』だろう? それすらも、晋作(しんさく)だって… 判ってるだろう? それなのに、どうして…」 「そうだ。 いつも『彩香(さやか)』は、そうなんだぞ。 いつも『俺の為』にと。 いつも『周りの為』にすらもだ。 そうやって行動すらも『普通』にするんだ。 彩香(さやか)にとって、それが『当たり前』だから。 だから『気付かない』んだろうと、俺は判ってる。 そんな『彩香(さやか)』を俺が? 俺がそれをするのは、それこそ違うってな。 でも、それでも俺は『彩香(さやか)』だけだったんだぞ? それなのに…」 私は晋作(しんさく)の顔を見る。 どうして… 今度はまたそんな顔をする? 私のせいなのは変わらないだろう? 「私には… 確かに、判らないのかもしれないけど… そんな晋作(しんさく)の、悲しい顔は…」 私は首を横に振って、どうにかと思う。 どうすれば良いんだろう? けど晋作(しんさく)は少し笑って言った。 「俺がそう、もし、彩香(さやか)がだ。 『悲しい顔』をさせたくないと思うならで良い。 だったら、今はまだ迷ってもだ。 俺の側から、消えないでくれ。 俺はあんなのは、もう…」 私は考える。 そうだなぁ… もし私が、離れても。 『晋作(しんさく)が幸せに笑って』くれないなら… 私は晋作(しんさく)の顔を見る。 その顔は… 「判った… だから、そんな顔は…」 すぐだった。 晋作(しんさく)は嬉しそうにまた私にキスをしてくる。 何度も、舌も絡めてくる。 「んっぁ。んっ。ぁっ。」 唇が離れた時だった。 「そうか。 だったら俺は今、それでも充分だ。 だから、俺から離れるのだけは!! 今は迷っても良い。 それは仕方がないと、俺が『判ってる』んだ。 だから、『俺の為』だと思うなら、俺から『離れる事だけ』はしないでくれ。 俺はそれで、絶対に『幸せ』なんかならないと。 断言出来るんだ。」 私はまたどうにか息をして、晋作(しんさく)を見る。 本当に嬉しそうに笑っているのが判る。 私はまた考える。 私が『気付いてない』からか… それに気付けば、晋作(しんさく)は『幸せ』になれるか? それまでは、晋作(しんさく)がまた『悲しむ』のか? だったら… 「うん。 判った… それで本当に、『晋作(しんさく)が幸せ』になるなら…」 「あぁ、本当か!! だったら、俺は嬉しいだけだ。 俺は彩香(さやか)を愛してる。」 私はまた、若干、迷う。 でも、そんな嬉しそうな顔を… 私は自然と笑って言う。 「そうやって… 晋作(しんさく)は嬉しそうに笑うのなら。 私も嬉しい。」 晋作(しんさく)の方が若干、驚く様子はしたけど、また笑って言った。 「あぁ、もう… 俺は今… 少しの、そう。 我慢だ。 せめて、夜まで、我慢…」 私は若干『意味』には気付いた。 夜まで!? それはもう決定!? 「あ、え? その… 私が、何かしたのか? いきなり、急に…」 晋作(しんさく)の方は嬉しそうに、また私に軽くだけキスをしてきた。 唇が離れて言った。 「いや? それで良いし、彩香(さやか)は何もしてないがなぁ。 でも、俺は結構、我慢してるんだぞ? それもあるだけかもしれんが。 彩香(さやか)はそのままで充分だ。」 私はまた少し困惑する。 一体、どうした!? また、急に!? 何かしたのか!? ************************** そして、私は晋作(しんさく)の家に住む事になった… でも考える事も出来た。 それは私が『気付いてない事』と晋作(しんさく)が言った部分だった。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!