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新たな基準でも、それは違う『怒り』を。
徐々に家の仕組みは判ってきたが…
それでもだった。
そう、もう晋作の『生活基準』だった。
どうにか、今はまぁ、そうだとしてもだ。
一体、もう…
とんでもない!!
そう言いたい事ばかりでもあった…
私も大体の家の仕組みは覚えるのは簡単だった。
だが、晋作のする事であり。
更にもうそれが凄い事もあり…
私はそれを納得する為にと、『新しい言葉』すらも覚えた。
それは『晋作基準』である。
だが、私は初めて。
この家に来てから完全に怒った。
**************************
「なぁ、晋作?
この家の掃除はどうしてる?
どうも掃除器具がないんだが?」
私はそう、この家の構造はもう理解していた。
だが、それでもだ。
私が出来るのは『慣れる事』が仕事なのだ。
だから判らない事は、晋作に聞く事でもある。
私が首を傾げて聞くと、晋作はそれにまたアッサリと答えた。
「この家なら、掃除は『業者』に定期的にさせてるから。
家の中には…
掃除器具なら、洗濯機があるぐらいだな。
まぁ、俺は使わないが?」
私は驚く。
確かに私は自分の服に関しては、洗濯機は使った。
それにこの家の中には、ちゃんと干せる場所だって多いのだ。
だからそれほど、気にはしてなかったのだが…
流石にどうやっても、この広い家だ。
だから私なりに考えて、1日に一部屋サイクルで清掃でもと。
考えての質問だった。
でも、その返答が…
まさかの『業者』だと!?
私はまたどうにか言った。
「私は自分の服ぐらいはしていたが…
そもそも、晋作が着る服は、どうしてる?」
晋作がまた驚いた様子で私に言った。
「何!?
今まで、『自分』で洗ってたのか?
どうして早く言わない!?
『一緒にクリーニング』に出せば、問題なかったぞ!?」
私はもう首を横に振った。
違うだろ!?
だったら、何で洗濯機があるんだ!?
まさかだが…
「晋作は、まさか、衣類は全部。
クリーニングか?」
「そうだな。
最近はまぁ…
もう『全部』だが?」
「だったら何であんな『大型洗濯機』があるんだ!?
私だったら、そっちの方が早いぞ!!」
私は晋作を見た。
それには晋作も首を傾げて言った。
「あれは、最初に設置して、まぁ…
スーツ以外はと、俺も最初はしてたんだが。
まぁ、途中から…
それもしなくなった?」
私はそれでも疑問だけを言った。
「だったら、どうして洗剤があるんだ?
使用期限すらも問題なかったが…」
晋作は若干、考える様子をしてからだった。
「多分だが…
それは『清掃業者が交換』してるんじゃないか?
それに清掃業者が入る時間も『短い』から、全ては見てないが…」
私はまた疑問だった。
「短い?
これだけの家で?」
晋作は普通に言った。
「それはそうだろう?
『この家のセキュリティ』を若干、解除する時間は『短い方』が良い。
その為に人員は増やしてるから、それでさせてるだけだ。
この家でも、俺が居る間の『10分程度』で終わるぞ?」
10分だと!?
「ちょっと待て!!
どれだけの人員なんだ、それは!?」
「俺も『リスト』を見ないと、人員数までは判らないが…
その清掃員に関しても、リストにないなら入れない。
月一だが、家の中だけは『10分のみ』にしてる。
外の門はその間すらもロックされてるし、清掃開始と、終了時にだけ解除するだけだな?
清掃中も『漏洩防止の為』にロックはしてるから…」
私は若干、『意味』は判った。
それだけ『厳重にセキュリティ』をしてると言う事だ。
私はそれも含めて考えた。
つまり、それだけ。
ここは『重要』に、『晋作が管理』してるのか…
でも、それはそれだけ『業者』だって…
「なるほど、理解は一応?
したが…
だが、私はクリーニングは良い…」
**************************
晋作は不思議そうな顔で言った。
「どうしてだ?
別に『一緒に出せば』何も問題ないだろう?
家事だったら、もう彩香もしてくれてるじゃないか。
わざわざ、清掃までしなくても…」
それを遮るように私は言った。
「違う!!
私が使ってる服なんて…
多分、晋作が知らないぐらいに安い。
クリーニングの方が、『抵抗』があるぐらいだ。
晋作が着てるスーツ関係は、クリーニングが一番だろうが。
私のは、そんな『必要』はない。」
晋作を見ると不思議そうに聞いてくる。
「知らないぐらいに安い?
ちなみに、一番安い値段は?」
私はもう首を横に振った。
きっと言ったら、逆に何かしそうな予感すらもした。
だからこそ、言わない方を選んだ。
「彩香?
服が必要だったら俺の方で『手配』するが?」
私はそれでも首を横に振って、無言を選んだ。
前にそう、ホテルに届いた大量のブランド物も思い出した。
とんでもない!!
「まぁ、俺が選んでも良いが…
好きな物の方が良いだろ?
どのブランドか言って貰えれば、『カタログを渡す』から。
そこから選べば良いだけだぞ?」
私はもう目を閉じて、それでも首を横に振って無言を選んだ。
やっぱりか!!
やっぱり、取り寄せる気だな!?
どんだけなんだ!?
しかも『自分』で選ばず。
更に『運ばせる事』が当たり前か?
「判らないが…
だったらもう、いっそ俺が選んで全部、取り寄せるが?」
それは!!
私はもう、怒りが出た。
何も気付いてない!!
私は目を開ける。
若干睨みながら、晋作に大きく言った。
「違う!!
そうなる予測をしたからだったが、それは『全て拒否』する!!」
晋作はまた少し驚く様子はした。
けれど首を傾げて聞いてきた。
「どうして彩香が怒ってる?
久々に見るが…」
私はその晋作の不思議そうな顔を見た。
だからまた考える。
「そうだな。
理由を出すなら…
ちょっと、一般庶民には。
あの大量なブランド物もか。
目にも痛いからか?
それに、晋作の方にも、そうだな。
私はちょっと、久々にか?
『完全に気付いてない』からか?」
若干、また晋作はまた少し驚く様子はした。
私はそれを見て、少し考える。
もう私は目を閉じる。
思う事をと考えて『言葉』に出して言う。
「そうだな。
私は今から考えよう。
私は一般庶民だな?
うん、そうだな。
私は一般庶民の方が、楽かも?
ちょっと、それはまた考えるか。
そうだな。
庶民の方が楽かもしれんか?
どうなんだろうか?
大した事がなくても。
まぁ、『最低限生活』は出来るか?
そうだな。
確かに今までも私は出来たな。
だったら、私はまた出来るか?
可能だな。
また就職先なら探せるか?
問題すらない、可能だな。
確かにそうだ。
『食費3万』でも、私は可能だったからな。
それも問題ないな。
まぁ、『おにぎり』で充分だし。
そうだな。
この家の方が、若干苦労するか?
簡単な物件なら…」
「ちょっ!?
彩香!?
待て、待ってくれ!?」
私は目を閉じていたが、晋作の声は聞こえる。
それでも目を閉じたまま続けた。
「いや、私の住所はちゃんと教える。
そして職場も教える。
だったら、もう前と同じだろう。
それをすれば問題ないか?
そうだな、連絡先も判るし?
特に『生活面』でも、私は一人でも可能か?
そうだな、実際出来た。
私は、一般庶民の方がもう楽か?
そうかもしれないな。
楽な仕事の方が、それならまぁ。
今までと、あまり変わらなくなるな。
そっちの方が、私には楽かもしれんか?
このあり得ない大きさの家だが。
逆に落ち着かないし?
寧ろワンルームで…」
「さ、彩香!!
待て、本気で怒ってるのか!?
謝る!!
俺が悪かった!!
だからちょっと待ってくれ!!」
私の腕を掴んだ様子だったが。
それでも『理由』を、一切考えない晋作にだ。
本気でもう考え出す。
「うん、そうだな。
確かに『この家』じゃなくても?
まぁ、もう晋作の家は知った。
だったら、たまに来るぐらいが良いか?
そうだな、その方が楽か…」
「待った!!
本気で考え出してるだろ!?
俺が謝る!!
だから彩香、居てくれ!!」
私はそこで目を開けた。
晋作を見る。
確かに、明らかに焦ってるのは判る。
けれど…
『理由』は全く判ってないのもだ。
私は晋作を見て、首を傾げながらまた言った。
「私は近くの『物件』に移動しても良いか?」
晋作は完全に焦って言った。
「いや、悪かった!!
だから行かないでくれ!!
俺はもう、それは嫌だぞ!?
せめて、怒ってる『理由』を教えてくれ!?
それをどうにかするから!!」
「そうか、『理由』を言えば、どうにかすると?
だったら言おう。」
私は晋作の目を見てハッキリ言った。
「自分の周りの物事すらも、『全てが他人任せ』が当たり前…
更に一切、『自分自身』でしようともしないのは、おかしい!!」
晋作はもう、明らかに驚く様子だった。
更に動揺したのは判った。
「それは…
その…」
**************************
私はそう、『怒り』もある。
だから大きく言った。
「どうしても出来ない事なら、仕方がない!!
でも、そんな事すらも、全て『金』だけか!!
そんな『誰かにやって貰う事』すらも当たり前か!!
更にそれは『やって貰った人の事』すらも…
一切、何も考えてもいない!!」
晋作は、それで『意味』は理解した様子だった。
でもまだ明らか動揺したのも判った。
「わ、判った。
理由は、良く判った。
だから、気を付けるから…」
私はでもどうにも怒りが湧く。
皆が必死で頑張ってるぐらい、私の方が知ってる!!
「どうやって晋作が、気を付けると言えるんだ!!
『相手の事』すらも見ていない!!
その上に、『相手の苦労』すらも、考えようともしていない!!
どんな仕事だって、皆が頑張って、それでも生活の為に必死にと。
皆がしているのかは、私の方が知っている!!
その『人達』が、したくても、出来ない事も知ってる!!
それを『晋作』が、知らない事は別に気にはしない!!
でも、知らないからと言っても、『相手は機械』じゃない!!
相手は『人間』なんだぞ!!
誰だって、どんな思いをするかもだ!!
考えようとすらもしてないじゃないか!!」
晋作は完全に動揺した。
「それは…
すまなかった…
次からは、その、『手配』も考えて…」
「だから、また『それも違う』だろ!!」
私はそう、そこじゃない!!
「違う?」
私はもう完全に怒り、睨んで言った。
「家の掃除だって、そんなに『セキュリティ』を気にするぐらいなら!!
『自分でやれる』ように考えれば、いくらでも『出来る』んだぞ!?
方法だって、考えれば、『業者の人達』が必死にやってるのに!!
その『人達の苦労』すらも無視して、全てが『自分の都合のみ』なのか!?
それは『金』を払っていれば、全てが許される事なのか!?
クリーニングだって、『最低限』のものは仕方がない!!
それは専門業者に任せないといけない。
それ以外の物は『自分でやれば』済むだろう!?
さっきも『晋作は当たり前』のように言ったな!?
カタログから選べば『届けさせる』と!?
どうして『わざわざ』だ、『相手の都合』すらも一切、考えてないんだ!!
『欲しい物』があるなら、『自分で買いに行けば』良いだけだ!!
晋作が忙しくて、時間がなくて、どうしても無理だったら。
それは『金』を出して、誰かに頼む事は仕方がない事だ!!
でも、『今の晋作』は、どうなんだ!?
家に居る『時間』もある。
仕事時間の『融通』すらも、どうにでも出来てるのに。
重要な案件があって、どうしても『仕事』があるなら仕方がない。
そっちの『仕事を優先』しないといけなくなるのは判る。
でも、『今の晋作』は、『自分自身の事』すらもだ。
全て『相手』を動かして、『相手』の事なんて、一切考えてないだろう!!
さっきも言ったが、それをしてるのは『人間』だ!!
『機械』じゃないんだ!!
それなのに、『それを』何も考えようともしてない!!」
晋作は、また動揺して困惑した様子を見せた。
だからこそ、『確信』もした。
私はもう、明らかな怒りすら、出して言ったのもある。
そう、私は知ってる!!
でも晋作が、知らないとしてもだ!!
まるで『機械』のように…
『誰か』がやってると、『相手』の事なんて。
何も思ってない!!
それを聞いた晋作もだった。
私の『怒りの理由』は、理解した様子で目を閉じた。
数分も経たずに晋作は言った。
「すまなかった。
彩香が『怒ってる』のは…
『相手』の事を、俺が『ぞんざい』に扱った事だな?
それに、怒ってると…
自分と同じ『人間』なのに、それを『機械』のようにと。
『そこ』を、怒ってるのだな?
彩香が言った事は、確かに間違ってない。
俺が、悪かった。」
私はそれで怒りを下げた。
**************************
私は目を閉じたままの…
晋作の側に近付いて、ソッと触れた。
「判ってくれたなら、良いんだ。
晋作なら考えれば、すぐに判る。
だから、それを…
考えてくれて、判ってくれたなら、私は良いんだ。」
晋作が目を開けて、若干、でも困った顔をしたままだった。
それも判るから、私はいつものように言う。
「晋作だけを、攻めるように強く言ったけど。
私の言いたい事が。
そしてそれを考えてくれる、晋作は優しいんだ。
だから、そんな優しい晋作が…
したら駄目だろ?
それに気付けば、私はそれで良いんだ。」
「彩香…
俺なんかより、彩香の方がだ。
だから、すまなかった。」
私は晋作を見る。
充分、理解したとは思った。
少し笑って言った。
「いや?
私が言えば、晋作だって、相手が見えるなら。
充分、優しいだろ?
苦労も、痛みも、味わうのが『人間』だろ?
それを『機械』みたいしたら、相手は『痛い』だけだ…
その『痛み』を、考えられるなら。
私はもう怒ってない。」
晋作は、それでも首を横に振ってまた言った。
でも、また少し嬉しそうな顔でもあった。
「俺よりも、ずっと彩香の方が『凄い』んだがなぁ。
でもそれがな、『誰も持ってない』んだろうなぁ。
俺はでも、彩香が怒ったから、気付けただけだ。
だから…
謝るから、俺から離れていかないでくれ。
それだけは、俺には…」
私は笑って言った。
「あぁ、勿論だ!!
私は晋作が、優しいのも知ってるからな?
だから判ってくれたなら、充分だ!!」
晋作は私を抱き寄せ、そのまま優しく抱き締めてきた。
私からは晋作の顔が見えない。
けれど、声は聞こえる。
「あぁ、もう、本当にそうだ。
俺は『彩香』以外に、知らないなぁ。
これだけ皆をだな。
『周りの事』まで、誰よりも『優しい』のは彩香だけだ。
『俺の事』まで考えてくれたからだ。
『判る』から、尚更だ…」
私はそれには普通に答える。
「そうか?
でも、『晋作』が優しいのも。
私は充分、知ってるんだ!!
だから、私は『晋作』が嬉しそうにするのが。
私も嬉しいんだ!!」
「あぁ、今は…
俺はもっと、彩香の事すらも知ってるぞ?
もう、俺は『彩香』以外、愛せないなぁ。
今日の俺は『反省で自粛』だなぁ。
でも俺の側に居てくれるなら…
それだけでも、俺は『幸せ』だ。」
私はこの体勢だと晋作の顔が見えないが。
それでも判ってくれた事が嬉しくて笑う。
「うん?
私は晋作が『幸せ』になる事を『願ってる』のも。
変わってないぞ?
だから、そんな風に言わなくて良いんだ。
晋作だから、私は側に、それを『願う』だけだなぁ。」
「『俺の事』を、本当に…
ただ、そう、『俺だけ』を見てくれるのが『彩香』なんだ。
本当に大事で、離したくないんだ。
もう居るだけで、俺は充分、『幸せ』なんだ。
だからそれを『願う』なら、俺の側に居てくれ。
俺はもう彩香以外、望んでないんだ。」
そう言った後に、晋作が若干動いた。
私にと晋作がキスをしてくる。
少し軽めにだった。
でもその時に、見た晋作の顔は、確かに嬉しそうだった。
私はスッと手を晋作の頬に触れた。
「あぁ、そうやって嬉しそうに笑う晋作がだ。
私はそう、嬉しいんだ。」
私は笑って言った。
晋作はでも少し目を閉じた。
でもそのまま言った。
「今日の俺は『反省中』だからなぁ。
そんな風に『笑う彩香が側に居る』だけで。
充分過ぎるだろう。」
「あはは。
反省中か?
でも、判ったなら、それも充分だと思うがなぁ。
私も強く言い過ぎたな。
でも晋作だからだぞ?
晋作なら、言えばすぐに『相手』をだぞ?
充分、優しいからだなぁ。」
少しだけ目を開けた晋作は首を横に振った。
「さっきも言っただろう。
俺よりも、ずっと彩香の方が優しいんだってな。
それにもう俺はずっとだ。
ずっと俺はそう、彩香の『凄さ』もだ。
充分、知ってる。
まぁ、それを『当たり前』にするからこそだがなぁ。
だから『気付かない事』も、俺は知ってるから…
もう、そのままの彩香を、愛してるんだ。
そんな彩香が、『俺だけ』を見てくれるだけで。
俺はもう『理解してる』んだぞ?」
私は少し疑問になる。
気付かない?
またか?
私は少し考える。
「彩香は、もう『そのままで良い』んだぞ。
そんなに気にするな。
俺だけが知ってれば、良い事だからな。」
「うん?
晋作だけ?」
そんな晋作の顔を見る。
とても嬉しそうなのは判る。
だから私は笑う。
「今度は、俺と一緒になら。
買い物にでも行ってくれるか?
せめて俺には、今はそれぐらいしか出来ないからなぁ。」
「あぁ、そうだな!!
たまには一緒に、いろんな店でも、見ながら歩こう!!
きっと、いろんな事がだ。
晋作なら驚きそうで、私は楽しみだ!!」
「あぁ、そうだな。
そんな日があっても、良いな。
俺も楽しみだ。」
**************************
そんな事もあって、今度は一緒に出かける事になった。
案の定。
私は晋作がたくさん、驚く姿が見る事にもなった。
それを見て、私も笑った。
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