私の大切な人たち。

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 ある日私はこっそりと灘川先輩の印鑑を使い、わざと間違えた書類を課長に提出してしまう。  それだけ美人で得をしてるんだから、少しくらい嫌な思いをすればいい。そんな身勝手な理由で――――  けれどそんな私の嫌がらせも、すぐにバレてしまう。  私が犯人だと分かっているのに灘川先輩も、彼女の想い人であろう吉無田さんもほとんど責めたりしなかった。 「宮永さん、課長には自分で話せますよね?」  そう言われて顔を上げると、彼らは小さな声で「頑張れ」って言ってくれたの。私に自分から皆に謝罪する機会をくれたのだって分かった。  二人と話して、私はこのままじゃいけない。ちゃんとしなきゃって……外見ばかり気にしてないで、この二人の様に心も磨こうって思ったの。  最初はどう二人の傍に行けばいいのか分からなかったけれど、社員旅行で灘川先輩達の近くにいれるようになった。  灘川先輩と吉無田さんはどう見ても両想いなのに、なかなか付き合おうとしない。そんな二人を見ていると、こっちの方がヤキモキしちゃうんですけど!  それでも二人のペースで進めてるんだろうなって、見守ることが私の日課で……  でも、そんな時……灘川先輩に近寄ろうとしている厄介な男の存在に気が付いてしまって――――
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