え…?溺愛ですか?

8/9
前へ
/138ページ
次へ
「私はもう、あの頃の素直だったみぃじゃないわ。」  そう……私は灘川先輩たちの事とは別に、ちゃんと目的があって貴方に近付いたの。  早川さんが思っているような素直でいい子だった女の子は、もうどこにもいないのよ? 「分かってる、みぃはすげえいい女になったから。正直俺は、かなり焦ってる。」 「貴方は、またそんな思ってもいない事を……!」  タオルを手に取り、ガバリと起き上がって早川さんを睨む。何がいい女よ、今更そんな言葉で簡単に騙されたりしないんだから。 「俺がそう思っていないって、みぃはどうして言い切れる?」 「だって……」  ダメ。これ以上話せば、私にとって都合が悪い話をしなくてはならなくなる。今はまだそんな話を彼にする訳にはいけないの。  ……何とか話を逸らさなくては。 「みぃ、どうした?」  喋るのを止めた私を心配そうな表情で、見てくる早川さん。やめて、私のためにそんな顔をしないでよ…… 「何でもないわ、少し喉が渇いて。なんだか甘い飲み物が飲みたいんだけど……」  本当は貰ったミネラルウォーターだけで充分なんだけれど、早川さんと少し距離を置きたくてそう頼んだ。今まで彼が甘い飲み物を飲んでいるところを、見たことは無かったから。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2078人が本棚に入れています
本棚に追加