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「私はもう、あの頃の素直だったみぃじゃないわ。」
そう……私は灘川先輩たちの事とは別に、ちゃんと目的があって貴方に近付いたの。
早川さんが思っているような素直でいい子だった女の子は、もうどこにもいないのよ?
「分かってる、みぃはすげえいい女になったから。正直俺は、かなり焦ってる。」
「貴方は、またそんな思ってもいない事を……!」
タオルを手に取り、ガバリと起き上がって早川さんを睨む。何がいい女よ、今更そんな言葉で簡単に騙されたりしないんだから。
「俺がそう思っていないって、みぃはどうして言い切れる?」
「だって……」
ダメ。これ以上話せば、私にとって都合が悪い話をしなくてはならなくなる。今はまだそんな話を彼にする訳にはいけないの。
……何とか話を逸らさなくては。
「みぃ、どうした?」
喋るのを止めた私を心配そうな表情で、見てくる早川さん。やめて、私のためにそんな顔をしないでよ……
「何でもないわ、少し喉が渇いて。なんだか甘い飲み物が飲みたいんだけど……」
本当は貰ったミネラルウォーターだけで充分なんだけれど、早川さんと少し距離を置きたくてそう頼んだ。今まで彼が甘い飲み物を飲んでいるところを、見たことは無かったから。
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